行政の将来を考える会

省庁や官民の枠を越えて日本と行政の将来のあるべき姿を議論しよう!
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第41回例会「日本の国土と交通の将来像−新生・国土交通省は何を目指すべきか」
(講師:国土庁長官官房総務課課長補佐 安達徹氏)
5月24日、行政の将来を考える若手の会第41回例会が開かれました。今回の例会では、『日本の国土と交通の将来像−新生・国土交通省は何を目指すべきか』をテーマに、国土庁長官官房総務課課長補佐の安達徹氏を講師としてお招きし、22名(講師を含む)が出席して意見交換を行ったところ、主要点は次の通りです。

【目次】

1.安達氏講演(日本の国土と交通の将来像)
(1)はじめに
(2)省庁再編と国土交通省の位置づけ
(3)国土交通ビジョンの柱

2.質疑応答
(1)首都機能移転は実施すべきか
(2)省庁統合で相互調整が進むのか
(3)北海道と沖縄はどのように扱うのか
(4)局の独立性をどのように考えるか
(5)技官の位置づけをどのように考えるか
(6)道路交通をいかに改善するか
(7)ハブ空港整備が必要ではないか
(8)国土交通省を超えた発想で取り組む
(9)最大の力は国民の選挙と情報公開

【本文】

1.安達氏講演(日本の国土と交通の将来像)

(1)はじめに

 昨年夏に在ロシア日本大使館での勤務を終えて帰国後、親元の運輸省から国土庁に出向となった。当初は国土交通省の組織、定員を担当していたが、昨年末までに骨格が出来たので、いよいよ新しく出来る国土交通省で何のために何をするのかについて、組織的に考え始めた。この「国土交通ビジョン」については、現時点では検討・調整中であり、対外的に発表できる段階にはないが、本日は、皆様から国土交通省のあり方について一般的な意見を頂ければ幸いである。

(2)省庁再編と国土交通省の位置づけ

 省庁改革の4本柱は、(イ)政治主導の確立(役人まかせにしない)、(ロ)縦割り行政の弊害を排除(府省間の政策調整など)、(ハ)透明化・自己責任化(情報を外に出さない向きがあるがそれは良くない、また政策評価についてもこれを機に制度化する)、(ニ)スリム化目標を設定(組織減らし、人減らしを行う)である。
 今回の行政改革は、橋本前総理がどうしてもこれはやるべきだという強いリーダーシップを発揮して取り組み、理念や目標等を検討して行政改革会議の最終報告が出されたものである。目標は、この最終報告によれば、「肥大化・硬直化し、制度疲労のおびただしい戦後型行政システムを根本的に改め、自由かつ公正な社会を形成し、そのための重要な国家機能を有効かつ適切に遂行するにふさわしい、簡素にして効率的かつ透明な政府を実現すること」である。
 この行革では、新たな中央省庁のあり方として、国の果たすべき役割の見直しをしようとしている。橋本元総理による国家機能の四分類として、(イ)国家の存続、(ロ)国富の確保・拡大、(ハ)国民生活の保障・向上、(ニ)教育や国民文化の継承・醸成を出発点とし、21世紀の主要行政課題は何かを明示している。  国土交通省については、任務・行政目的として、「国土の体系的な開発・利用、そのための社会資本の整合的な整備など」、主要な行政機能として、「国土計画、都市整備、住宅・土地、治水・水利、公共施設整備・管理(道路、鉄道、空港、港湾等)、北海道開発、運輸事業、安全規制、海上保安、気象、観光など」を掲げている。

(3)国土交通ビジョンの柱

 国土交通ビジョンは3つの柱とする方向で検討中である。1つ目の柱は、そもそも国土交通省がどういう基本的な使命を帯びているのか整理するものである。2つ目の柱は、90年代後半に様々な法制度が変わってきたことを踏まえ、新しい時代に対応する仕事の進め方とは何かを考えるものである。3つ目の柱は、今後、2−5年を見渡した近い将来に何を行うべきかという点である。現在議論が白熱しているのは、国土交通省の基本的使命は何か、そもそも何をやる行政組織なのかということである。詳細はまだ固まっていない。

2.質疑応答

(1)首都機能移転は実施すべきか

(質問)東京からの首都機能移転に興味を持っている。建設業界や、交通・運輸にかかわる業界で、首都機能の移転は一般的にどのように取られているのか。自分は直感的に思っているのは、東京に政治も行政も経済も金融も集中し、人口も圧倒的に集中している一方で、関東大震災級の災害はいずれ不可避かつ予知不可能なので、日本のカントリーリスクは極めて高い。金融の仕事をしているので特にそう感じる。最近は北朝鮮の問題や阪神淡路大震災など、危機管理が話題に上るようになったが、首都移転は自分でコントロール可能なリスク管理の手法でもあり、実施していくべきであると考える。

(安達氏)首都機能移転については、国土庁の大都市整備局の首都機能移転企画課が中心となり、本件に関する法律に基づき検討を行った。首都機能移転は数十年前から言われているが、検討が本格化したのはバブル時代であったと思う。理由は一極集中が度を越していることと防災対策である。昨年末に、3か所の候補地の利点と欠点につき政府としての報告を行った。結論は国会の場で出すことになっている。
 なお、都市景観の話は大きな問題である。国土庁の大都市圏整備局でアンケートを分析したところ、世界各国の都市(特に欧米や東南アジア大都市)と比較して日本の都市の良い点は、(イ)安全である、(ロ)買い物がしやすい、(ハ)公共交通が整備され移動が簡単である、というものである。他方で、今後改善すべき点は、(イ)景観が良くない、(ロ)古い歴史を持った由緒正しい建物が少ない(町中を散歩しても歴史の勉強になるものが少ない)というものである。国土交通ビジョンの中でも、住宅や社会資本の耐用年数をどのように伸ばしていくべきなのかを検討している。

(2)省庁統合で相互調整が進むのか

(質問)道路は建設省が所管し、鉄道は運輸省が所管していたが、今回両省が統合された。予算が1つの所で扱われることとなり、相互調整をやりやすくなったと思うが、単に両省を足したままになるのか。

(安達氏)この点は正に大きな問題である。「道路特別会計で鉄道の高速化を」などが言われているが、結論は出ていない。手元に正確な数字を持っていないが、道路特別会計だけでも5−6兆円、治山治水関係、住宅関係も数兆円あり、国土交通省全体で10兆円の予算がある。これらの予算の大部分は建設省関係であり、運輸省関係は港湾、鉄道などあるが10分の1程度である。局ベースの視点で事業のあり方が考えられる傾向が強いが、昨今の財政難局を踏まえ、今後、省内的な議論が活発化してくると思う。ちなみに欧州でも省庁再編は頻繁に行われているが、その際の組み替え要素は局単位の組織になっている。

(質問)建設・運輸両省間の人事交流で雰囲気は変わってきているのか。

(安達氏)今後は、一人の大臣の下の一つの組織となる。職員の意識の持ち方は重要な課題と認識している。

(意見)防衛庁本庁には内局、統合幕僚監部のほか、陸、海、空各幕僚監部があり陸、海、空の指揮と長官の参謀機能をもっている。当初、陸上幕僚監部では、機能別とモノ別の並立編制であり、航空行政、武器行政、通信行政などはそれぞれ「ゆりかごから墓場まで」、全部権限を持っていた。それを改編して、人事、防衛、教育訓練、補給・整備などの全面的機能別編制に変えた。その結果、モノ別の研究開発、補給、整備、それに伴う人事、訓練等がバラバラになり一貫性が失われてしまった。
 国土交通省も、従来の道路、住宅、建設、港湾、鉄道、航空、河川等モノ別編制の長所を残しつつ、総合政策局等の横断的機能別組織に強力な総合調整権限を持たせるような組織・運営が望ましいと思われる。

(3)北海道と沖縄はどのように扱うのか

(質問)国土交通省となった場合、4省庁のうち、北海道開発庁はどうなるか。必要なのか。北海道出身だが、予算、助成金それ自身がガンである。私の周辺で北海道に関わる方々は皆同じことを言う。今年、道庁上層部の方に会った時、北海道の人間は、問題の解決策と金が空から降ってくると思っている傾向が強いという。どこまで北海道を大事にしていくのか。大事にするしかたが違うのではないか。

(安達氏)国土交通省の中の北海道局になる。ただし、業務内容は現在と基本的に同じである。現状では、北海道は特殊な要因を種々抱えており、それなりの政策を考えていく必要がある、とのコンセンサスがある。

(質問)沖縄はどうなるのか。

(安達氏)一段高い組織である内閣府に登って、内閣府で手厚い対策をとっていく。北海道は民族や過去の歴史の点で比較的取り組みやすいが、沖縄はより複雑である。

(4)局の独立性をどのように考えるか

(質問)各々の局が、全体との連携を考えることなく、個別に動く傾向があるとすれば、それを今後具体的にどのような方法で変えていくのか。

(安達氏)人事交流、国土交通省の役割の再検討が必要である。ただし、その場合の問題点として、専門的な知識が必要な仕事ができなくなることがある。例えば、外務省の専門家に年金問題をやらせるのは非合理的であろう。

(質問)利害関係が省でなく局であるとの話があったが、そもそもそれを総合調整することが必要なのか。総合調整といっても、単なる政治的な力関係で物事が決まることもあろう。局中心なら局中心でよく、それでも期待する国土、都市、田園のあり方につき、考えを共有して実現していくことが可能ではないか。その点につき検証することなく、総合調整が必要だという言葉が先走っている。総合の時代は終わった。必要なのは総合でなく、専門的機能をいかに社会のニーズに生かすかを考えることである。政府という組織の場合、予算、人事が重要と言われるが、マネージメント上難しいのは民間も同じだが、プロフェッショナルとしての官僚の方々が共有できる「気概」のようなものがあるとお感じか。

(安達氏)国土交通省は来年から1つとなって、ビジョンを作り、総合政策局等で優先順位を検討し、1つの省として機能できるよう、取り組んでいるところである。
 以前は、局毎の特殊利益を追求する形で良かった。日本の場合、近代化が遅れた上、戦争で社会資本が灰塵に帰してしまったので、司司で一生懸命社会資本を整備すれば、それがそのまま社会のためになっていた。道路も河川も港湾も、15年位前までは、それぞれきっちりやれば良かった。しかし、社会資本整備もそれなりに進んだし、また、国全体の借金の問題もある。GDPを上回る借金があり、財政赤字が積もっている。このような事情を背景として、この3−4年位は、計画中の公共事業すらやめようとストップがかかっており、地方空港や地方港湾の整備のあり方を相当に大きく見直した。これは前代未聞のことである。総合調整はやはり必要である。そのためにも、国土交通省職員の精神的な基盤になるようなビジョンを作り、特殊グループで固まるのはやめようとの雰囲気が出てきている。

(5)技官の位置づけをどのように考えるか

(質問)自分は建設省の記者クラブに1年在籍したが、技官の独立性が強すぎるのではないかという印象を持っている。建設省の河川局、道路局、運輸省の港湾局などでは、それぞれ自立的な論理で動き、例えば若戸大橋、関門橋、本四架橋とどんどん夢が膨らんでいく。必要な予算も認められるように動いていく。極論だが、技官制度を廃止してアウトソーシングするという方法はあるのか。

(安達氏)専門性は今後とも重要であることを忘れてはならない。要はタテ割り意識が強くなり過ぎないような制度づくり等が求められている。例えば、国土交通ビジョンや政策評価などだ。

(意見)現在、技官の数は膨大だが、その処遇をきちんとしながら縮小すれば、ソフトランディングできるのではないか。

(意見)技官が予算の権限まで持っていることが問題ではないか。外部から予算の重点配分をすればよい。

(6)道路交通をいかに改善するか

(意見)一市民としての意見であるが、子供が小学校に行き始めたので、学校まで交通事故に遭わず生きて着くことを確保してほしい。また、都市部の渋滞は制限してほしい。

(安達氏)大都市は交通渋滞で車のスピードが低いので死傷者が少ない。また、渋滞についてはロードプライシングをして、周辺部を安く、都心部を高くするとの方策も検討している。

(質問)道路警察は警察庁から国土交通省に移管されなかったのか。

(安達氏)移管されなかった。諸外国の例を見ると、交通警察は交通関係組織とされているところもあり、将来の課題として残ろう。日本でも海や空では運輸省で交通警察業務を行っている。

(質問)ロードプライシングの結果、金持ちだけが良い道を通れることにならないのか。

(安達氏)シンガポールは、ナンバープレートの末尾の数字が偶数か奇数かで制限している。都市交通をどうするかは大きな問題だ。皆様のアイディアをいろいろとお聞きしたい。

(意見)ロンドンのシティは、過去400年くらい道は変わっていない。新しいオフィスビルは地下に10台しか駐車スペースを設けないようにしている。これにより、車で入っても駐車できない状況をつくっている。

(7)ハブ空港整備が必要ではないか

(意見)日本にはハブ空港がない。シンガポール、韓国などにはある。北陸、山陰等は、地方空港から羽田空港を経由して成田空港から外国に行くより、金浦空港を経由した方が便利である。金浦空港には4000メートル級の滑走路が4本あるが、成田空港には1本半しかない。
 ハブ港も同様である。例えば横浜は日没から日の出までしか貨物を扱えず、土日祝日が休暇のため、荷物が積み残しであっても沖留めのままになってしまう。これも地域住民優先の思想でないだろうか。これではハブ港の育ちようがない。
 このままでは、日本はアジアのローカルになり下がってしまう。もうそろそろ地方へのバラマキをやめて、重点指向、国益優先の政策に転換すべきではないか、そのためには、官僚が特定利益誘導のへの配慮なしに計画立案、実行の主導をして頂きたい。それは政治優先と矛盾しないと考える。

(安達氏)大都会の国際ハブ空港・港湾の整備が立ち遅れたことは、大きな反省材料になっている。日本経済発展のボトルネックになっている、との認識もある。今後、国土交通省も資源の重点投資を進めていくことは確実だ。
 他方、これまで「国土の均衡ある発展」を旗印として、地方の整備にも大きな力を注いできた。この結果、地方部の整備はかなり高い水準まで来ているのではないか。

(意見)地方の声は大きい。自分の勤めている新聞社でも、地方版では工事着工は万歳である。どこそこに調査費がついたなど、地方紙では一面を飾っている。地方経済はどうしても公共事業に頼る場合が多い。公共事業には、失業対策、地方の崩壊を防ぐための対策という側面がある。

(8)国土交通省を超えた発想で取り組む

(意見)省がくっついて一緒になっても、基本的には局単位となっており、航空行政などハード毎に分かれている。そうでなくて、4省庁が合体した時に、横断的な課題について、マクロの視点で考えるべきではないか。産業地域、住宅地域、自然保護、景観の維持などの観点が重要である。

(意見)国土交通省の所掌にとどまらず、より幅広い視野を持った上で、所掌行政に取り組むべきではないか。同じ問題意識から、地方分権も必要になると思う。

(安達氏)運輸省でも、1984年に機能別の組織再編を実施し、運輸政策局、国際運輸・観光局、地域交通局、貨物流通局など「横串」を入れた。しかし、その結果、一つの案件・行政が複数の部局にまたがることとなり、まとまりがつかなくなって事務が必要以上に繁雑化し、結局1991年に概ね元通りにした。通産省では、現業を持っていないので「横串」を入れるのが比較的簡単だったが、運輸省のように現業を持っているところでは、例えば幹線鉄道と地方鉄道を分けるより鉄道でまとめる方がうまくいく。新・国土交通省では、横割り局は、大臣官房に加え、総合政策局(予算配分など)と国土計画局(国土計画など)などがある。これらの局における総合調整のあり方は、重大な課題だ。

(9)最大の力は国民の選挙と情報公開

(安達氏)現実問題として、どうしても局毎の判断で物事が動きがちなことは否定できない。しかし、時代は変わりつつあることもはっきりしており、国土交通ビジョンは内部の意識改革を求めるための文書としての機能も果たすこととなる。一朝一夕では変化を達成できないが、これから必ず変わるし変わらざるを得ない。やはり大きな行政組織を動かすために、最大の力は国民の選挙の結果である。日本は完全にシビリアンコントロールが効いており、役人の独走などあり得ない。皆様が、国土交通省のあるべき姿を考えていただいて、政治等にフィードバックされることを望んでいる。
 また、情報公開も法制化され、これまで判断基準が不透明だったような点についても、国民、国会等の厳しい目にさらされることになる。国土交通省としても、政策評価のあり方について真剣な検討を行っているところである。
 今後とも、国土交通行政のあり方について、お気づきの点などをいろいろとお聞かせ頂ければありがたい。
Posted by gyosei-kanji
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