行政の将来を考える会

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第43回例会「環境問題に如何に取り組むか−企業と政策研究の第一線から」
(千葉大学法経学部総合政策学科助教授 倉阪秀史氏、横河電機株式会社地球環境推進室係長 和田康氏)
2000年7月31日、行政の将来を考える若手の会第43回例会が開かれました。今回の例会では、『環境問題に如何に取り組むか−企業と政策研究の第一線から』をテーマに、千葉大学法経学部総合政策学科助教授の倉阪秀史氏と横河電機株式会社地球環境推進室係長の和田康氏を講師としてお招きし、24名(講師を含む)が出席して意見交換を行ったところ、主要点は次の通りです。

【目次】
1.倉阪氏講演(政策研究の立場から)
(1)はじめに
(2)環境政策の二つの波
(3)環境政策が直面する問題
(4)新しい環境政策の動き
(5)次世代の社会システム
2.和田氏講演(企業の立場から)
(1)はじめに
(2)デンマークのカルンボー工業団地
(3)ダイムラー・クライスラーの環境経営
(4)横河グループの梱包材削減・梱包関連コスト削減の取り組み
3.質疑応答

【本文】

1.倉阪氏講演(政策研究の立場から)

(1)はじめに
 環境庁に11年在職してリサイクル法などを担当した後、3年前に千葉大に移った。当初は5年間程度環境庁に勤務した後で大学に戻ると言っていたが、仕事が存外に面白かったので結局11年在職した。今日は、環境政策の過去の経緯、現在直面している問題、トピックスとして新しい政策、そして将来進んでいく方向について話したいと思う。

(2)環境政策の二つの波
(イ)現在、環境政策は第二の波にさしかかっている。第一の波は、公害問題が最重要課題として認識され、それに対する対策が国レベルで対応されはじめた昭和40年代である。四大工業訴訟をきっかけに、国レベルで環境問題が正面から認識された。当時、公害問題に対応しないと社会的に内閣が倒れるのではないかと思われた位の重要問題であった。1970年代には公害国会があり、臨時国会として14の関連重要法案が通過し、翌71年には環境庁が設置された。なお、米国では、1970年に環境保護庁(EPA)が設立された。4大公害訴訟では、加害者がはっきりしており、被害が比較的短期間に顕在化した。四日市でも稼働後数年でぜんそくの患者が出た。このように、被害が局地的に発生し、そのような問題に対応して対症療法的に政策がとられたのが特徴である。
(ロ)昭和50年代は、環境政策の後退期となった。これは、石油ショックが主たる原因であり、様々な面で環境行政が後退した。
(ハ)環境問題の第二の波は昭和60年頃から外圧により始まった。昭和50年代には、環境関係の法律はほとんど通っていない。しかし、昭和60年頃から新しい法案が出てきた。まずは、1987年のワシントン条約国内法で、これは大法案である。ワシントン条約を締結、批准したが、海外との取引規制や関税法による水際規制は行っていたものの、国内では大手を振って取り引きされていた。これが国際会議で非難決議を浴びた。この結果、国内の取引規制を行うこととなった。このように、新しい課題に対応して、国内法を作るノウハウが蓄積された。丁度この頃、環境庁のプロパー職員が、課長補佐クラスまで昇り、毎年環境庁から新しい法案が出るという状況になった。1992年、最終的にモメンタムを与えたのが地球サミットである。
(ニ)この頃の問題は、多数の発生源からの環境負荷が集積して起こるものとなった。次の世代になって初めて被害が顕在化する。特に環境ホルモンは、異常になると生殖器に影響するが、顕在化が一番遅かった。また、被害が局所でなく国境を越えて広がる。このように、環境問題の様相が多様化してきたことから、従来と違った政策が必要になった。

(3)環境政策が直面する問題
(イ)まず、公害問題のうち、解決されたものとされていないものがあることに留意すべきである。大気の二酸化硫黄の問題はほぼ解決され、環境基準が達成されている。他方で、二酸化窒素、浮遊粒子状物質についてはほとんど達成されていない。二酸化窒素は自動車など移動発生源からのものが問題であり、発生源が大規模な工場だけでなくなっている。水質も、健康項目と生活環境項目の2つに分かれる。健康項目については、工場、炭鉱、鉱山など発生源が限られており、対処が容易である。他方、生活環境の富栄養化について、総累計は改善しているものの、小規模の発生源から出るもののの蓄積については改善していない。
(ロ)また、持続可能性という問題が出てきている。産業革命以来、人口爆発が起こっている。これは、人間の歴史上二回目である。一回目は紀元前で、今から約1万年前の、農耕革命が起こり定住社会が発生した頃である。ただし、その頃は地球全体から考えると人口は微々たるものであった。これに対し、第二回目は産業革命で、地球の化石燃料を商業的に利用することによる。この結果、人口は60億人まで伸びたが、今後これが持続可能か問題となっている。
(ハ)世界には三つのタイプの資源があるが、今後資源ベースが確保できるかが問題である。枯渇性資源はどこかの時点でなくなる。例えば、2010年頃には安い石油がなくなる。このため、更新資源が必要となる。ある調査によれば、捕食者のない場合のトナカイの個体数は、29頭(1945年)から6000頭(1963年)まで上がったが、その後42頭(1966年)まで減った。このような人口爆縮を起こすことなく、今の文明を維持したままで数百年、S字の成長曲線を保てるかが課題である。このため、枯渇性資源を更新資源に切り替える必要がある。

(4)新しい環境政策の動き
(イ)経済学の理論は物理的環境を無視して構築されている。環境との相互関係を把握するためには、新たな理論を構築し、政策につなげていく必要がある。具体的には、環境に物理的改変を起こす前に対応するための設計者責任が必要である。このように、設計段階で対応するとの政策的な動きが三つある。
(ロ)第一に、排出口対策から源流対策への動きである。従来は、排出口における濃度規制だが、そもそも汚染が出ない製法、工程にする。この結果、WTOの解釈で問題が生じるところまで話が広がっていく。
(ハ)第二に、拡大生産者責任の考え方である。従来は、汚染者負担原則であったが、消費者が出すゴミは誰が汚染者なのか、十分に整理されていなかった。OECDでは、車を運転する人でなく作る人が汚染者とされていたが、ゴミについてはそのように見ていなかった。しかし、拡大生産者責任においては、製品の生産者が、製品の使用中や廃棄後の環境負荷についても責任を持つこととなる。生産者が費用を負担する責任があることは広く認識されているが、処理は市町村が行うというのが大部分であり、自ら処理をするとの責任を課しているのはドイツのみである。現在、市町村の負担から生産者負担による処理へと方向に変えなければならないという基本的なコンセプトは広く認識されている。その結果、製品を設計する段階にも影響することとなり、その意味で設計者責任の一旦を担っている。
(二)第三に、環境影響評価法である。これは、適切な環境影響の抑制対策をとるための制度で、平成9年に法制化された。プロジェクトの設計段階で、環境影響を最後まで見通そうというものである。周辺住民の意見も聞くこととなっている。環境影響評価は、プロジェクトの中でも上位計画に規定されており、そこで戦略的環境アセスメントという課題が認識されている。
(ホ)第四に、柔軟な政策手法の導入である。従来は、規制的手法を中心とする行政であり、行政が正解をもっており、コマンドアンドコントロールするという考えに基づいていた。しかし、設計段階は、行政がコントロールできず、民間企業の創意工夫がもっとも働くところである。これを行政が規制的手法でやるのは無理である。従って、新たに経済的手法(税制改革、有料化等)、手続管理手法(環境アセス、環境情報公開等)、自主的アプローチ(行政との契約、自主的宣言等)を導入している。環境基本法にも、新しい政策手法として付け加わっている。

(5)次世代の社会システム
(イ)最後に、次世代の社会システムとして五点示したい。まず環境効率性の向上を政策手法として認識することである。持続可能な成長の規模を行政的にコントロールするものである。総量については一定の敷居値を超えないようにしつつ、経済のダイナミックスを生かすものである。環境効率指標を導入し、環境効率の高い企業が伸び、効率の悪い企業がダメになるように変える。環境効率の手法を整理し、環境効率の良いところが儲かるように、経済ルールを組み直すことが必要である。
(ロ)第二に、経済のサービサイズ(servicize)の進展である。モノを売ったり、モノを媒介としてサービスを提供するのではなく、サービス自体を直接に提供するようにする。例えば、農薬の販売でなく害虫駆除サービスの販売にすれば、農薬を少なく使う方が儲かるようになり、環境負荷が少なくなる。
(ハ)第三に、環境マネージメント、環境情報開示の導入である。これは、財務指標のみならず、環境効率がわかるようにするものである。
(ニ)第四に、水素が流通する経済への移行である。化石燃料の後は、更新性のエネルギー源として水素が流通するという方向で考えている。インフラも、ガスや石油でなく水素を前提に考える。実際、水素自動車も次のタマとして競争している。 (ホ)最後に、循環型社会・資源のカスケード利用(繰り返し使うこと)である。質の悪いエネルギーや材料で対応できるところはそのように対応することにより、環境への負荷を自然の再生能力や同化能力の範囲内に抑える社会が望ましい。

2.和田氏講演(企業の立場から)

(1)はじめに
(イ)横河電機は、メーカーを中心としたお客様に対して計測・制御・情報に関わる機器とサービスを提供するメーカーである。私自身は海外ビジネスの経験が長く、インド、ブラジル、東南アジア等、各国の現地メーカーへの技術移転、タイ、マレーシアの大学への技術協力等のプロジェクトを担当してきた。そして昨年10月に現在の部署である地球環境推進室に異動となった。
(ロ)まず会社の紹介をしたい。横河電機は、従業員が約6000人で、インダストリアル・オートメーション、情報サービス、電子計測器、半導体関連等の事業を中心に、産業・社会システム分野において、お客様とともに価値を創造し、豊かな人間社会の実現に貢献することを目指している。

(2)デンマークのカルンボー工業団地
(イ)まず最初に、日本能率協会の環境経営調査団(1999年11月)で視察した、デンマークのカルンボー工業団地の例を紹介したい。これは、工業団地内の6社がお互いの廃棄物をお互いの資源として交換しながら、活動しているものである。日経エコロジーにも当社の甲府事業所とこのデンマークのカルンボー工業団地が資源循環型モデルとして取り上げられた。
(ロ)この工業団地では、産業共生が主題となっている。30年前からデンマークは規制が厳しくなったため、生き残りをかけて商業ベースで成り立つ協力を積み上げてきた工業団地である。プロジェクトにはエネルギー交換、水交換などがあり、6社の内訳は、電力、石膏、バイオ廃棄物処理、化学薬品、石油精製、そして水道電力供給である。
(ハ)お互いのプラントの間にパイプラインを引き、電力会社の廃棄物を他で使う。どちらにも属さない施設の経費は折半している。人造湖もある。電力会社で排出される灰を石膏にし、熱を地元の自治体の養殖場にするなど、単に協力しながらやっていくとのポリシーではなく、あくまで経済と両立するものしかやらない。ゼロエミッションを目指すように見えるが、実際には経済的にも出来る範囲のことを積極的に実施していくことを重視している。
(二)この工業団地の企業となるには5つの条件がある。(a)企業同士が異なる廃棄物、排出物を出すこと。(b)大量に出すこと。(c)健全な経営状況にあること。(d)隣接すること。(e)信頼関係があること。

(3)ダイムラー・クライスラーの環境経営
(イ)ダイムラークライスラーは、以前、テクノロジー重視の企業だったが、経済性と技術に環境を加えて三位一体にし、環境の重要度を高めた。
(ロ)具体的には、バンパーなどの部品をグラスファイバーからナチュラルファイバーへ変えていった。これは、一気にやるのでなく地道にやっていった。世界のジャングルから100種類以上の天然素材を調査して採用した結果、コストも重量もCO2排出量も少ないものとなった。これは、Aクラス車のバンパー他、いくつかの部品に使用されている。

(4)横河グループの梱包材削減・梱包関連コスト削減の取り組み
(イ)現在どこの企業も梱包材の廃棄処分に頭を悩ませていると思う。この問題は設計の段階で、最後の処分まで考えた設計に変えていくことが最重要である。当社の取り組みは梱包材の設計段階に焦点を当てた。環境庁は、GDPに伴い廃棄物も増えているので、循環型社会を形成せよと訴えている。横河グループでは、梱包材削減・梱包関連コスト削減プロジェクトを社長直属で立ち上げた。これは、出来る限り梱包材の使用量を削減し、梱包材に関わる無駄なコストも廃棄工数を含めトータルで削減することを目指すものである。
(ロ)プロジェクトの取り組みの1つとして、今月(2000年7月)、「通いコンテナ」を立ち上げた。これは、お客様のニーズを収集した結果、梱包材は全部引き取ってほしい、という声が急増していたからである。そこで、流量計機器の梱包材を「通いコンテナ」即ち繰り返し使えるコンテナでも納品出来る仕組みを作った。三重県にある流量計を生産する関連会社からお客様に納品した後、再使用する緩衝材の入った空のコンテナを戻してもらうために、事前に営業と代理店からPRと主旨説明のリーフレットを配るとともに、コンテナには地球環境保全PRを印刷し、回収用の佐川急便の伝票を貼った。通いコンテナは地球環境保全に寄与するだけでなく、コスト削減による経済性も成立しなければダメである。繰り返し使用するコンテナ、緩衝材および回収運送費と、梱包材のコスト削減とをシュミレーション比較しビジネスプランによる仮説をたてて開始した。この仕組みはビジネスモデルの特許申請も一応行った。通いコンテナの目的は、横河グループの連結利益への貢献、地球環境保全への貢献、そして営業・代理店の梱包材引取り廃棄に伴う負担を減らすことである。
(ハ)さらに「フィルム・クッション」を導入した。フィルム・クッションとは、四角穴を空けた段ボール板に薄い透明のフィルムを貼り、段ボール箱の中で製品をフィルムにより上下で挟み固定する方法の緩衝材である。当社のデジタル・オシロスコープ、レコーダー等の輸送では既に標準化された。従来の発泡材による緩衝材に比べ、スペースをとらず、汎用性もあり(3〜4機種に共通で使える)、また段ボールと一緒に溶かせるフィルムを除けば素材はリサイクルし易い段ボールのみゆえに地球環境保全にも貢献出来る。多品種少量製品を扱う当社にとっては、多くの機種で現状の発泡材に比べコスト削減にもなっている。IBM、HP他多くのコンピューター関連の企業が既に採用しているが、日本ではようやく今年になって採用する企業が出てきた。
(二)最後に、地球環境保全の取り組みは全員参加が重要という点を強調したい。大切なのは現場での地道に取り組む姿勢であり、人それぞれのモラルが高くないとダメである。このため当社も横河グループ全体の環境基本理念、環境行動指針、環境基本方針を策定中で早期にグローバルでベクトルを1つにする。環境問題に詳しい人、良く知らない人他全員の架け橋となるような、分かり易い内容で作成している。内容が良いので自分も協力しよう、という気持ちにさせながら進めていきたい。

3.質疑応答

(1)(質問)デンマークの工業団地について、廃棄物の活用を商業ベースで行い、倒産しないような会社でパフォーマンスの問題もないとのことだが、提供する廃棄物が不足するなど、条件が満たされなかった場合にどうするか。何らかの解決の枠組みがあるか。
(和田氏)二者間で、ペナルティの条項等を設けて、不利にならないようにしている。
(質問)何年もやっているので、基本的には6社ともハッピーであろうが、スムーズに行っているのか。
(和田氏)失敗する共同プロジェクトがあってもお互い縁を切らずにやってきた結果、現在19の共同プロジェクトが可動しているという状況である。同じコミュニティにあり、家族ぐるみで仲良くし、6社の信頼関係を維持することを重視している。

(2)(質問)自分はゼロックスにおりこの問題を考える機会があった。OA機器の場合は業界で取り組みを話し合う協議会があるが、横河電機では同じ業界で、ライバル会社かもしれないが環境問題に取り組むための協議会、相互協力があるのか。今日の説明は自社の中でということだったが、業界の動きはあるのか。
(和田氏)業界となると当社は計測器工業会他いくつかの工業会に属しているが、自分の知る限り梱包材改善を協議する場は未だ無いと思う。カルンボー工業団地に類似した例では、当社の甲府事業所の所在地である国母工業団地には20数社メーカーがあり、これは業界を超えて地域ぐるみで協力を行っている。
(質問)日本の企業にありがちだが、横のネットワークを使うと合理的にできないか。
(和田氏)通いコンテナも、当初は3PLを目指す大手運送会社独自の新しいビジネスとして実現するようかなり働きかけたが結局断念した。しかし、当社だけでなく今後通いコンテナのような地球環境に優しい運送道具を各社が使うはずであり、近い将来運送会社がビジネスとして採用すると信じている。当社の流量計で通いコンテナを成功事例にして、将来は当社の他の製品を運送会社のコンテナで運ぶこと、かつ他の企業にも真似して頂き地球環境保全に貢献することが最終目的である。

(3)(質問)クライスラーの例で、素材を天然のものに変えたことによりコストが下がったということであった。環境対策をとるとコストが上がるという認識があったが、逆になぜこれまでコストが高いものを作っていたのか。それは性能が良いということか。
(和田氏)設計に環境の思想を持ち込み、ダイムラークライスラー自らが農場まで持つなど膨大な研究開発投資を行った結果として実現出来たのだと思う。これまでは天然の素材から自動車部品を設計するという発想は無かった。

(4)(意見)今の話に関連して、環境に配慮したものには、先に規制のインセンティヴがあって企業を追いつめることにより生まれたことが多い。多くの場合には、規制が必要である。新しい条件のもとで生き延びる者が、知的所有権で評価されていく。経済の成長を維持しようと思うと、対価を付けてあげなければ動機付けとして持続可能ではない。業界との関係では、業界部内ではまとまるものの、リサイクルのケースだと、業界を越えたプロダクションチェーンで連関がなく、インセンティブを見いだし得ない。この結果情報を共有し得ないところに国がはいってくれないかという議論につながっていく。今後、環境産業は成長分野であり、最終的に消費者に転嫁する形で最初のシードマネーを国が出し、サステイナブルな形で企業がこれに参画するのが適当と思う。
(和田氏)環境設計と国全体の回収システムが十分でない中では、コスト面も含めて物流が一番重要である。環境保全のモラルが向上しても、リサイクルシステムの構築上、物流コストがボトルネックとなる。リサイクルする工場を折角作っても現状では未だ稼働率が十分でなく、今後の努力で仮に稼働率がアップしても回収物流コストの問題が依然残る。運送会社がパートナーとなりITの活用で効率輸送を徹底し、いかにコスト削減出来るかが重要だと思う。

(5)(質問)静脈流通のコスト如何。
(和田氏)地域ごとに運送費は異なるが、納品時は平均で1箱500円であり、回収時は中の緩衝材もセットで運ぶが平均で1箱300円である。理由は回収時にコンテナのフタを空けて重ねると全体の容積が約2/3になるため。

(6)(質問)お客に箱を戻してもらうために随分苦労し、良心に訴えるなどしているとのことだが、実際の箱の返却率はどれくらいか。また、企業がお客だが、一般消費者のリサイクルはどれだけ協力すると思うか。利用者側のシステムの参加度を高めるためのインセンティブには、どのようなものがあるのか。
(和田氏)回収率については最初の出荷が8月10日であり、まだわからない。新規プラント建設の場合などは台数が多く、工期も長いため回収までの期間は1ヵ月以上になることもありうる。基本的にはインセンティブを与えるというより、地球環境保全に熱心なお客様のニーズに応える最良の方法として実施している。納品を全てコンテナに切り替えたわけではなく選択肢を作ったとの位置付けであり、返却にご理解を頂いてコンテナ指定をされたお客様のオーダーのみコンテナで納品するため回収率は高いと思っている。管理が出来なくなるので対象製品は拡大してもコンテナの種類は増やさない。当社の電子計測器など一般消費者にも購入頂く製品の場合も全く同じ方法で行う。考え方と方法は限りなくシンプルにする。

(7)(質問)環境調査団の報告書を見ると、いろいろな企業(10社くらい)が参加しているが、横河は環境で特に力を入れているということなのか、そのほかどの企業でも担当を置いてやっているのか。
(和田氏)当社も環境保全には特に力を注いでいるが、他社も環境会計で環境関連の投資、コストがコスト削減効果を大幅に上回っていても、積極的な活動を展開している。環境保全活動の仕組みは各社各様だと思うが当然どの企業も専任部署を置いて取り組んでいると思う。

(8)(質問)先に規制があって、その中で生き残りが必要という発想なのか。もっと前向きなのか。何が環境へ取り組むインセンティブとなっているのか。
(和田氏)規制により始まる取り組みもあると思うが、基本的には各社が地球のために環境保全に取り組むことが常識になったと考える。欧州では取り組み加速のために税金を使う例も聞いたが、個人も企業も環境保全の重要性を理解し、何か貢献したいと思っており、その努力と成果が社会から評価されることも理解している。
(意見)イメージだけでなく、企業は社会の中で、有害物質を出さないようにするとの責務を負っている。企業は公害を経験している。有害物質を出さないためには、省エネ、省資源、リサイクル、リユース、更には使わないことが一番良い。使うモノをなるべく少なくする。使ったらリユースする。
(和田氏)欧州で問題になっていたが、中小企業のISO14000取得が遅れている。英国、ドイツでは取得までのコストと工数の負担が大きいからだと聞いた。しかし、英国環境省、英国規格協会、ドイツ産業連盟で受けた印象は、何とか取得企業を増やすために規格を企業フレンドリーな内容にしたいという姿勢だった。罰金、税金政策以外の関係機関の努力を感じた。

(9)(質問)法規制はユーザーに価格転嫁できるかという点につき質問したい。価格転嫁なしで飲み込めれば価格転嫁しないが、赤字が出ると価格転嫁するというのが一般的な考え方であろう。しかし、大企業は消費者との関係で強いから価格転嫁できるが、中小企業はできないことが多いのではないか。力関係が反映するのではないか。
(倉阪氏)排出口での対策はコストになる。排出口に脱硫装置をつけるなどの例ではそうである。しかし、設計段階で変更するのは、もしかすると考えなかったからだけであって、智恵を働かせれば、そもそも買ってくる資源の量、廃棄物の処理費も減るだろうということがある。必ずしも大企業のみが対応できるというわけではない。中小企業でも、力の働かせ方次第で環境効率の良い製品が提供できる。先程消費者の意識の話がでたが、グリーン調達ということで、13年度から、調達の方針にそって再生紙、コピー機などでグリーン調達が具体的に進んでいる。エコマークがついているかで判断される。これにいち早く乗れば、シェアが拡大できるかもしれない。新たなダイナミックスが出てくる。環境規制はビジネスチャンスである。

(10)(質問)今日の話は先進国の環境問題だが、途上国では似たような問題構造なのか。
(倉阪氏)途上国では、環境法体系はしっかりしているが、問題は実施である。法律はしっかりしており環境基準も高いが、あるのにやらない。あくまで自主に任されている。

(11)(意見)自分は政府部内でOECDの輸出信用アレンジメントを担当していた。貿易保険の政府機関が24か国集まり、政府補助金を付けて不当に輸出を伸ばしてはいけないという相互監視のアレンジメントである。先進国が自国プラントを途上国に輸出する時、大気汚染や水質汚濁、先住民移動など環境社会破壊が問題になり、米欧のNGOから強い指摘、働きかけがなされた。自分は前向きな対応が必要と思ったが、政府部内で消極的な動きありなかなか実現できなかった。日本のNGOの陳情から、世界で何が起こっているのか聞き出して情報収集に務め、最低限日本として恥をかかないようにすることに成功した。しかし、政府としてなぜそこまで環境に後ろ向きになる必要があったのか、自分にはいまだに疑問である。
(倉阪氏)ルールを変える話であり、敗者と勝者が出てくる。構造的に既得権益に縛られているということもあろう。
(和田氏)そのような場合、トップダウンによる強いリーダーシップしかないと思う。優れた企業の場合、欧州では経営トップが自ら自社の環境方針までを強い意志を持って決めている。トップのコミットメントが先ず重要と思う。

(12)(質問)横河電機の環境理念の中の、環境意識の育成の部分で、社員1人1人の地域での取り組みを支援するとの下りがあったが、具体的にどう支援しているのか、横河電機の環境ランキングが135位から2位に上昇する中で、どのように取り組みを進めたのか。
(和田氏)すべて任意である。ISO14000の取得についても任意である。ゴミ拾いもボランティアベースで進めている。流れを作るのはトップだが、個人レベルの活動は個人のセンス、やる気の問題である。自分も呼びかけはするが、チェックしない。ボランティアである。関心が高いひとが多いから増えている。各人各様のでなく、横河グループのガイドラインである。

(13)(意見)税制について、環境問題については経済原理に載せるのが早い。例えば、電気は使えば使う程安くなるが、使えば使うほど価格が高くなるとすればよいのではないか。
(和田氏)当然自分も収支プラスでないと大きく変わらないと思う。先に走った人がよりプラスになる仕組みにする必要がある。税制も重要である。
(意見)バージン税など、消費税に近いものをプールして環境への取り組みの高い企業に戻すなどすればよい。
(意見)CO2マーケット売買などもそうである。

(14)(意見)途上国に先進国と同じ環境基準を求めるのはアンフェアである。先進国として対価を払わず途上国の企業活動をストップしているのは不平等、不公正である。ネパールでは電気プロジェクトはダメ、タイの下水処理場についてももっと良い処理場でないとダメと言っている。追い込んで厳しいことを押しつけ、その結果もっとひどい状況になっている。
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