行政の将来を考える会

省庁や官民の枠を越えて日本と行政の将来のあるべき姿を議論しよう!
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第44回例会「役所の経営改革―行政評価から電子政府まで」
(アンダーセンコンサルティング・官公庁本部戦略グループシニアマネージャー 後藤浩氏、チェンジマネジメントグループコンサルタント 吉竹正樹氏)
9月27日(水)の行政の将来を考える若手の会第44回例会では、『役所の経営改革―行政評価から電子政府まで』をテーマに、アンダーセンコンサルティングの官公庁本部戦略グループシニアマネージャー後藤浩氏及びチェンジマネジメントグループコンサルタント吉竹正樹氏を講師としてお招きし、25名(講師を含む)が出席して意見交換を行ったところ、主要点は次の通りです。

1.後藤氏講演(役所の経営戦略〜21世紀型事業ポートフォーリオへの転換〜)

(はじめに)
 本講演は、地方公共団体の首長(県知事、市長等)に対して、経営者の視点から改革はかくあるべきという内容である。 経営革新に向けたリストラには3つある。第一に財務リストラ、第二に事業(ポートフォーリオ)リストラ、第三に業務プロセスリストラである。財務リストラとは、過去のストックに着目したリストラであり、かつては聖域であった自社ビルの売却により負債を圧縮することなどがある。事業リストラとは、事業のセットの見直しにより一定の投入資源の量の下での価値の最大化図ることである。業務プロセスリストラとは仕事のやり方を改善することである。改革にとっては、経営者レベルが意思決定することが大きなインパクトを持つ。

(1)これから起こりそうなこと
 大蔵省がかつての護送船団方式を転換して銀行を見放したように、自治省もかつては地方自治体を事実上コントロールしていたが、今後は見放すであろう。生活者は住む場所を自由に選択するようになり、また、人々は自治体の活動に関心がなくなってきた。それでも、介護保険、環境問題等行政機関がやらなければいけないことはどんどん出てくる。行政機関は、税収を通じた法人や個人への依存から脱却する必要がある。

(2)最近の地方行革の良い動き
 リーダーシップを持った知事の出現の下で、職員の意識改革が進んでいる。行革への取り組みについての自治体の格差は大きい。

(3)役所の経営改革
 行政にいかに経営管理の手法を活かしていくか。より少ない金で高い価値を生み出すための手法として、5つの方法(々埓改革をワークさせるための仕組み作り、ITを駆使した新しい顧客バリューの実現、6般灰廛蹈札慌革、ぜ\ぢ紊鮹瓦人材育成、ダ鑪的パートナーシップの確立)がある。現場レベルの積み上げのみならず、トップによる総合的なビジョン、リーダーシップが不可欠。

(4)行政評価を利用した意思決定の必要性
 ほとんどの自治体が行政評価の導入により事業ごとの投入資源と成果を定量的に把握しつつあるが、その結果を使った意思決定にまで結びついていない。

(5)行政事業ポートフォリオの考え方と各事業の基本戦略
 行政事業について、収益性と時間の経緯を座標軸として、一人立ち事業(今まで続き黒字)、取捨選択事業(今までやっているが赤字)、フロンティア事業(これからの事業だがまだ赤字)、進入禁止事業(これからの事業で黒字)に分類できる。行政としては、やらなければならないが誰もやっていないフロンティア事業に対して、資源を集中的に投入しリスクを取って着手すべきである。進入禁止事業については民間部門の領域なのでやるべきではない。取捨選択事業については、収益性の改善、VFM(Value for Money)の向上、事業の整理をすべきである。公営の事業については早く黒字化(一人立ち事業)にして民営化すべきである。

(6)取捨選択事業の整理
 政府は時代の要請に応じて誰もやらないがやらなければならないことを手がけてきたが、一旦始めたことはやめないことから、取捨選択事業が最も多くなっている。これについては、本質的に不採算だが生活者にとって不可欠な事業(住民サービス、徴税、福祉など)はコストの回収(cost recovery)をめざし、本質的に収益をあげうる事業(水道、清掃、住宅、バスなど)は儲かる(self-sufficient)ように、生活者にとって価値の乏しい事業は撤退(exit)すべきである。

(7)フロンティア事業へのシフト
 行政は税金というノンリスクマネーを用いて、行政でないとリスクに耐え得ず、未来を切り拓くような、3300ある各自治体の差別化を目指した事業を手がけるべきである。既存の事業からフロンティア事業へと経営資源を移行させるべきだが、その際必要なのは人材育成(配置転換に備えた再教育)である。

2.質疑応答

(参加者)行政は財政状況が厳しいので守りの姿勢でいるが、自治体ベンチャーというようなものがあってもいいのではないか(最終的には民営化することになるのだろうが)。行政がノンリスクマネーをもっと積極的に活用し、収益を目指してもよいと思う。取捨選択事業については、儲かるはずなのに儲からないものについては民間が手がけることにより収益があがると思う。行政が収益性を目指すことで、税収以外の財源を確保すれば、行政サービスの質の向上につながる。

(講師)フロンティア事業については、さまざまな可能性がある。例えば、神戸市はハリウッドが大阪での映画撮影を行う際の煩瑣な手続きを代行するというサービスを提供した。わくわくするような事業があるのではないか。

(参加者)自治体によって意識改革の程度がかなり異なるとのことだが、何が意識を変えるのか。

(講師)トップが変われば間違いなく変わる。

(参加者)税収、交付金等が今後も継続して確保できるとの前提で論を展開しているように見える。実際には税収等の落ち込み、債務返済で予算が低減すればフロンティア事業に経営資源を集中的に投入する政策は無理ではないだろうか。仮に予算が確保できるとしても行政の効率化、リストラで及び市町村の統合化等で浮いた資源は減税で納税者に還元すべきでないだろうか。また仮に余裕経営資源をフロンティア事業に投入するとしても、民間で出来ることは民間で行い、行政はそのための規制緩和等インフラ整備をするという役割に徹するべきだと思う。自治体が手がけたレジャーなどの事業は現在では惨憺たる有様である。税金を経営資源としている以上、民間も手を出さないリスクの大きい事業を行うべきではないと思うがどうだろうか。

(講師)現状では、政府は大きく、その政府に依存している企業が多い。ノンリスクマネーをフロンティア事業に使ってしまえというのは、改革を考えるための問題提起である。

(参加者)行政で職員から良いアイディアが出された場合にどのような報酬を出しているか。 また、例えば市役所で児童手当と保育園の案内が別となっているように、市民の立場から見れば不親切な所があるが、どのようにしたら改善されるだろうか。

(講師)良い仕事をした人が報われるような人事制度が必要。公務員の人事制度は硬直的だが、それでも市レベルでは自己PRによって管理職への昇進を決めるところも出てきた。地方自治体ではトップの裁量で人事ができる。窓口の問題については、既に出来上がっているやり方を変えるのは相当困難とは思うが、自治体は人が生まれてから墓場まで一生関係するという、民間企業にはない広い事業領域を持っている。イベントごとに一箇所で行政サービスを受けられれば顧客がハッピーである。

(参加者)新しい事業を成功させるためには、金と時間についての考え方をそれまでの事業のものでなく、新しい事業のそれにあわせることができるかが決め手。その中で意思決定の質の担保が重要になってくる。それができるかが役所に限らず、新規事業に取り組む組織には試金石になる。

(講師)行政の意思決定の仕組みの改革が必要である。予算については決裁の必要な金額を今広げようという動きがある。 組織は大きくなれば、官僚化するのは民間企業も同じ。中堅層は現状のままではもたないという危機意識があるが、トップのすぐ下の層が最も現状を変えたくないという傾向が強い。

(参加者)トップがだめでもうまくいく経営のやり方はないだろうか。

(講師)やっていることが時流に乗っていれば大丈夫。

(参加者)e-governmentに関心がある。アメリカや進んでいる自治体の例を教えてほしい。

(講師)パソコンが1人1台あるのは全国で4県のみ。e-governmentとはパソコンが役所になるということである。行政情報を広域的にシェアする情報インフラを築くことにより、人々はどこでも行政サービスを利用できる。自治体の例としては、横須賀市では調達にあたって電子的な手続きを実施している。アメリカではG-bayという政府の不用品のオークションのサイトを構想している。

(参加者)公営の交通において、採算が上がらないが福祉的な観点から存続していた路線については、規制緩和や民営化でどうすればよいのか。また、経営改革のタイムスパンはどのくらいか。

(講師)交通については全国一律というのではなく、もともと地域性の強いものであるから、民間の経営努力で何とかなると思う。ただし、まずは民営化以前にコストの回収に努めるのが必要。行政も発想の転換をして広告などで少しでもコストを回収すべき。誰かが始めればその動きは広まるものだ。経営改革のタイムスパンについては4年程度であろう。

(参加者)個人として自立し、行政から何をしてもらうかではなく個人として社会にどう貢献できるかを考えることが重要。政治家は当選するために利益誘導に走らざるをえないことに挫折感を感じていると思う。イギリスのサッチャリズムは、まさに国に依存していた個人の自立を促したもの。そのようなリーダーシップが問われている。個人の自立に向けた改革のためには、公的部門の政治任命が必要ではないか。

(参加者) 役所の経営改革について、「How to」の視点以外にもそれを効果的ならしめるために「環境」の構築も必要ではないか?そのためには、改革をより効果的に行うために人事制度を相当改革する必要があると考える。すなわち民間人が行政組織に現在以上に参画し、新しいアイデアと専門的な知識をインプットし、また官僚も外部の「受け皿」において政策を専門的に構想できるシステムが必要ではなかろうか。イメージ的には、米国のポリティカルアポインティ(政府高官の大規模な政治任用制度)の徹底、「受け皿」たる独立した政策系シンクタンク、大学等の整備が必要と考える。このようなシステムができればより効果的な経営改革、政策の質の向上が図られるのではないか。

(講師)国家公務員は人事異動が頻繁でスキルを身につけるのが難しい。人事についての評価は困難であるが、人を資産として活用していくためにはコストがかかっても評価をきちんとすることが必要。

(参加者)行政も収益性を追求せよとのことだが、公共性、公益性をどう判断したらよいのか。より良いサービスを提供することが重要であり、そうした流れで政策評価の動きが出てきている。政策評価において、国民や住民の評価をどうとらえているのか。

(講師)行政評価において、顧客の満足ということがあるが、顧客には、行政サービスの受益者と納税者の両面がある。また、アメリカでは職員がハッピーかどうかも意識している。行政評価はその結果を活かしてトップが意思決定しないと改革とならない。個々の現場が細かい事務作業について膨大な評価作業をして、それで終わりという、評価のための評価に陥らないようにすることが肝要である。

(文責:池永肇恵(総理府男女共同参画室))
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