行政の将来を考える会

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第48回例会「大都市圏のリノベーションについて−地域・都市・住宅政策におけるこれからの社会資本整備の方向性」
(講師:(株)アルテップ代表取締役 荒川俊介氏)
2月28日(水)、行政の将来を考える若手の会第48回例会が開かれました。今回の例会では、『大都市圏のリノベーションについて:地域・都市・住宅政策におけるこれからの社会資本整備の方向性』をテーマに、(株)アルテップ代表取締役荒川俊介氏をお招きし、約25名(講師を含む)が出席して意見交換を行ったところ、主要点は次の通りです。

1 大都市リノベーションの背景

(1) 時代の画期
 社会・経済構造の大変化(近い将来の人口・世帯減少、高齢・成熟社会、高度情報社会の進展、都市活動・生活行動の変化、地球環境問題等)、大規模災害の危険性の増大等により、大都市の地域再編の必要性が高まっている。そこではグローバリゼーションのなかでの新たな社会・経済構造への適応が求められており、グローバル(地球規模)な大都市の存在価値・活力の保持・増進と、ローカル(地域の)・アイディンティティの強化の双方が必要である。

(2) 政策展開との関係
 国土計画、大都市圏計画、都市・住宅政策、その他の関連でこれまで様々な政策が打ち出されてきた。そのなかで、国土庁の「21世紀の国土のグランドデザイン」(新・総合計画)では、大都市のリノベーションが提唱され、東京都の「東京構想2000」では、「環状メガロポリス構造」が提唱されている。

2 大都市リノベーションの位相・検討事例

 大都市リノベーションは、例えば、大都市圏スケール、地域スケール、ゾーン・スケールのような、どのようなスケールで捉えるかによって、位相が異なる。検討例としては、大都市圏スケールではパリの都市改造、「大都市圏リノベーションプログラム」(国土庁、2000)、地域スケールでは、「生活圏構想」(住・都公団、1998〜1999)、ゾーン・スケールでは「川の手・荒川沿川重点整備事業区域空間戦略試案」(都市公団、1999〜2000)などがある。

3 大都市リノベーションの視点

 既往の概念・システムの精査・再構築が必要である。従来、都心=都京中心部、郊外=その周辺と捉えられているが、大都市の構造変化に伴って、例えば千葉の中心や横浜の中心を都心と規定することも可能であり、そう考えると、人々の生活行動や都市活動の可能性も変わってくる。また、都市の機能を内包したものをインフラ=公共財と捉え、あるいは住宅もインフラと捉えるべきである。職住接近についてもSOHOの普及で位相が異なってくる。 また、大都市リノベーションの大きな目標は、「空間価値」の再配置である。そこで、「エリア戦略」、「環境インフラ」等の視点が重視される。

 さらに、地方分権が進み地方の裁量が増すこと及び居住者が主役となることと、広域的な計画の、両者の整合性を取るシステムが現在存在せず、また国においても省庁の縦割りの弊害があるので、今後は、地元行政、居住者、民間、国の関係各省庁の広汎なパートナーシップが必要である。 (パリの都市改造の例)

 パリでは、パリ市街の膨張に伴い、郊外から都心への通勤時間距離が増大した。パリの勤労者の許容通勤時間感覚はせいぜい45分程度であり、ゆとりある生活を求めて、パリから他地域へ就業者が流出した。そこで、高質な就業者確保、有利な条件での立地を主動機として、優良企業が南仏地域へと流出し、その結果更に就業者が南仏へと大量移動することになり、その結果、パリ都市圏(イル・ド・フランス地域)の相対的地盤低下が起こった。EUの現実化のなかで主要都市の主導権争いが熾烈化し、特にサッチャー政権下で都市改造が進められていたロンドンとの競争が激しくなった。フランス政府は国策として、国主導の、パリ都市圏の再編、パリの都市改造を手がけることとした。そこでは例えば住宅政策が文化政策と一体的に進められるなど、我が国では例のない政策も見られる。 (国土庁の大都市圏リノベーションプログラム)

 このプログラムの根底には、2050年に東京圏の人口は720万人減るとの推定がある。これを踏まえて、東京圏を縮減しながら、個性的なエリアの集合体とすること、「環境インフラ」といった新たな質の広域インフラによって新たな空間構造に再編することなどが計画されている。

4 新たな政策目標

 新たな社会資本への重点投資が必要である。まず、自然環境を重視し水・緑などで構成される「環境インフラ」の創出が必要である。また、交通インフラの改編、市街地・居住地の改編、情報インフラ・ライフライン等の改編が必要である。
 さらに、人口減少、超高齢化の進展のなかで新たな土地政策/都市政策/住宅政策が求められている。

[質疑応答]

(参加者)大都市のリノベーションは、大災害のようなショックがないと進まないのではないか。

(講師)確かに危機的な問題がないとことは進まない。確実に起こる人口の減少がまさに大きな時代の画期であり、それを本気で認識するかにかかっている。

(参加者)政治のリーダーシップにかかっているのではないか。

(講師)達成可能性については、やや疑問であるがベクトル(方向性)については信用している。

(参加者)人々は住む街を選び、そこで税金を払うのであるから、良い人を集めるためには良い街にする必要がある。その際に、民間主導といっても行政による規制も必要であると思うが、行政はどこまで関われば良いのか。東京のような大都市は無駄なものが多くコストが高くなっているが、リノベーションに際して、コストを抑えるにはどうしたらよいか。

(講師)現在既に無駄が多い部分についてはスリム化をする必要がある。何でも新規につくるのではなく、現在ある空間資源を利用することが重要である。従来型の公共投資では限界がある。具体的な突破口は、一般的な制度ではなく、実験的に、また時限立法等で社会実験として大胆にやることから生まれる。例えば、ニュータウンでは経済的な理由や合意形成の問題で、建て替えがなかなか進まないが、その場合は特例的な規制緩和が必要である。

(参加者)成功モデルを示して他の場合の手本とするのが良い。

(講師)特定ケースで特例的に進めるうえで、行政バランスという意識が足かせとなっている。優先順位の設定や議会対策なども戦略的でない。また、法人税を納め行政を監視する立場にある企業と、より効果的に提携することも重要である。

(参加者)東京圏の国際空港についてどう思うか。

(講師)国際空港までの到達時間を30分程度とするとすれば、現在の交通網を前提として、運行形態を変更することでも可能になる。

(参加者)日本の都市、特に都心は、面積が狭い分、天井を高くするなど工夫をしてもっと高層空間など空間活用できないのか。

(講師)高層化を進めるには建築コストの問題が大きい。コストに対する社会的な評価や政策の価値基準を根本的に変える必要がある。例えば、ドイツでは、住居の広さの最低基準は郊外より都心の方が広く決められている。これは、郊外は自然や空間が広く共有し享受できる空間が都市よりも多いから住居は狭くても良いという考え方から来ている(発想が日本と逆である)。日本では、現在地価下落が続いているので、高層ビルは建設コストが高いため採算が取れない状況。また、大規模な容積移転のためには、規制緩和が必要。

(参加者)街づくりにあたって、部分的には最適化が図られていても同じような市街地が乱立することが予想されるので、行政区域の再編が必要なのではないか。また、住民の都心回帰の一方で郊外での職域の集積が進んでいないので、郊外の一戸建て住宅がさびれている。

(講師)実際には地域の活動は行政単位を超えているので、行政の統合ではなく、複数の自治体が連携してネットワークを形成するのが良い。また、就業機能の郊外への集積のためには、例えば、経済特区、開発特区のような大胆な制度の創設が必要である。そこでは市場メカニズムが働き、また外資の投資がなされることが期待される。

(参加者)国土庁の大都市リノベーションプログラムで、首都機能移転はどのように扱われたか。また、IT革命により情報の即時共有化や在宅勤務が進み、都心・郊外のイメージが変わると思うが、その点はどうだったか。

(講師)首都機能移転については議論されなかった。またIT革命による都心・郊外の関係の変化についてもあまり触れていない。

(参加者)自分の経験では、欧米では実にホームオフィスが多いと感じた。

(参加者)都市のリノベーションが進まないのは、立ち退きの問題等があり、現在の定期借地権・定期借家権では過去の契約には適用されないなど、不充分だと思うが、国は改正等を考えているのか?またマンションの建て替えが進まないのは、住民の利害が一致しないためで何らかの方策が必要と思うが。

(講師)建物・土地等の資産については、現在リスクが大きくて動いていないので、さらに流動化する必要がある。建て替えにはつなぎ資金が必要であり、リバースモーゲージを応用した方策等やつなぎ融資などが検討の対象となろう。

(参加者)外国人はこれからどこにどのように住めばよいのか。

(講師)自分の考え方としては、外国籍の人はどこにでも住めるのが良い。外国籍者の問題は、基本的には入管政策、労働政策次第である。就業の種類、収入等により居住地が分かれる傾向はあるが、外国人の居住地を特定化するゲットー型は良くない。外国人の居住にとって最大の問題は民間の借家だと思われる。また、周囲とのトラブルを避けるためには、情報の共有が必要であろう。

(参加者)首都には、陸・海・空からの大規模なアクセス、特に海空は国際的なハブスポークが必要ではないか。また、住宅公団は良質な住宅を造って誘導すればよいのに、狭い住宅を硬直的な価格体系で供給しているのは間違っていないか。

(講師)交通の選択肢を広げること、また、スピードより移動回数を減らすことが重要。例えば水上タクシー等の導入により交通手段は豊富で楽しいものとなるのではないか。公団に対する認識はやや的はずれである。

(参加者)住宅公団の提供する住居は狭いというが、単身者も増えており、一人あたりの床面積でみる必要がある。

(講師)一人当たり床面積は、現在ヨーロッパ先進国なみの水準に比べて大きく劣っている。単身者の住居を国が供給することについては、例えば、フランスでは若年の単身者も政策対象として重視し、住宅を供給することによって、若者が増え活気がもたらされた。日本では政策の対象を所得階層で類別したり標準化したり、あるいは、戸数主義で評価したりということで、高度経済成長期の論理・視点から未だに脱却しきっていない。
Posted by gyosei-kanji
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