行政の将来を考える会

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第50回例会「電力自由化の本質と最適制度設計への道―カリフォルニア・カタストロフィーをどうとらえるか」
(講師:学習院大学経済学部・特別客員教授&関西電力株式会社 西村陽氏)
4月18日(水)、行政の将来を考える若手の会第50回例会が開かれました。今回の例会では、『電力自由化の本質と最適制度設計への道〜カリフォルニア・カタストロフィーをどうとらえるか』をテーマに、学習院大学経済学部・特別客員教授&関西電力株式会社 西村陽氏をお招きし、約22名(講師を含む)が出席して意見交換を行いました。 主要点は次の通りです。

1.西村氏・講演の要旨(関連資料に基づく。)

(1)電力改革の前提
1890年代 新技術によるベンチャービジネスとして世界中同時発生的に誕生。
1920年代 米・日:民間ビジネス、その他諸国:国営中心のビジネスとして体制が確立。
1970〜80年代 オイルショックにより、消費が鈍化。独占・原価主義は市場動向を素早く反映するシステムではないため、その後も過剰な設備投資し、資本効率が悪化。
1980年 米国:地域間価格差を契機に規制改革検討開始。
1990年 英国:国営企業改革(強大な労働組合をつぶす目的もあり)。

(2)競争導入の方法
(イ) 英国
発電市場:既存、新規企業が電気を売れるよう、「オークションプールシステム(時間単位の需給を一致させ、値段の安い順に決定)」を採用。
小売市場:発電、配電会社が各地域の顧客に自由に電気を売れる。配電サービスは平等に提供。
→(結果)値段は下がらない。(暗黙の談合が存在)
(ロ)米国
発電、卸電力市場:地理的要因などからもともと存在していた卸電力市場が、託送活性化により大規模化、スポット市場化。
            オプション、デリバティブ等金融機能と複合化し、電力ビジネス体は価値連鎖型経営へと劇的に変化。
小売市場:州政府の規制範囲。一部州で自由化、まだ多くの州は1企業が独占。
(ハ)日本
発電市場:既存電力会社+新規参入(入札による募集)。発電技術をもつ企業が参入し電力会社へ卸売り
小売市場:2000.3.21〜 大規模顧客について自由化。配電サービスは非差別的に提供。

(3) 電力制度改革の構図
「各国単一のスタイルで電力自由化をしていない」
国営・独占事業体が存在していた国(イギリス) →機能分割、人為的な競争システム構築が必要。
民営電力会社の存在する国(アメリカ、日本など)→小売市場オープン、ネットワーク(送電、系統)の透明化で可能。
                                (本来カリフォルニアのとるべきだったスタイル)
***カリフォルニアは「変則国営型」の改革を選択してしまった***

(4)カリフォルニア
(イ)カリフォルニアにおける電力改革の骨格
 (a)小売市場の完全自由化
 (b)3電力会社の送電ネットワークを集約し、独立系統運用期間(ISO)を設立。
 (c)卸売市場形成のためのPX(1日前電力市場)創設と相互契約の併存。
 (d)電力会社の回収不能費用(ストランディット・コスト)を算出し「競争移行費用」として顧客から回収するスキームを制定。
   ←80年代のグリーンパワー(特に風力発電)に対する過度な優遇措置により、標準コストよりはるかに高価なプラントとの長期契約を強制され、見込み赤字を処理する必要があった。発電所100%売却へも影響。
 (e)発電所の50%を売却するよう要請。(結果的には全てを州外発電プレーヤーへ売却)
   ←3電力会社の市場支配力排除という政策意図。英国にモデルを求めた。
(ロ)カリフォルニアPXをめぐるゲーム構造
配電会社(地元電力3社):(ノーオプション)PXからすべての電気を購入する義務
発電プレーヤー:(多肢なオプション)需要状況・系統混雑を見て最も高収益を選択。
          。丕悗忰⊇3飴埔譴忰州外相対契約顧客へと電機ストップ
*発電プレーヤーが限界費用をPXをめぐるゲーム構造によって寡占的に演出。
   →本当の限界費用を知る規制当局が上限価格を決めても、発電プレーヤーはおそらく発電機ストップで規制に対抗。必然的に停電。
(結果)電力の買い手がゲームの餌食になった
(ハ)PX廃止後のカリフォルニア電力市場の姿(予測)
制度を改善することで理論的には正常な競争均衡がいつかは成立。しかし、
ー要ひっ迫。
⊃卦参入がない。(→供給競争が起る心配なし) 厳しい環境規制により発電所建設は時間がかかるため
H電設備の買戻しは実質不可能。 発電プレーヤーのほとんどは州政府、州民ではなく株主に支配され最大利益を上げるべく存在しているので、買戻すにはかなりの高値。
し賄混雑
などの理由により相当長期間買い手の不利は続く。また、1998年の自由化からわずか2年で州民・州政府・配電会社から発電プレーヤーに移った富はもはや取り返しがつかない。

(5)警告「電力自由化は安定供給を約束しない」
電力ビジネスの設備過剰、資本の過剰投入を改善する有効な手段ではあるが、価格低下の効果を持てる汎用システムではない。
需要の逼迫を事前に防ぐ電力投資システムが実証されていない。
逼迫後も供給力の増強は微妙。
価格の調整段階では「値段が高くて電気が買えない」現象が必ず起る。
(→90年代の地域独占のほうがましでは?)

(6)今後の課題
「設備過剰時代が終わった後、誰が将来の電源を準備するのか」
新しい発電所は価格メカニズムにしたがって誰かが作るというシステムが想定されている。が、誰もそれを実際に見たことがない。
新規電源だけを時限的に総括原価規制するのも一案。

(7)カリフォルニア・カタストロフィー(大崩壊)の影響
電力自由化=価格低下とい公式が成り立たないことが認識された。
特にオークションタイプのプールシステムや発送配電の完全分離化は失敗の典型例。
日本の電力革命の市場。競争スキームへの基本的な流れは変わらない。

(8)日米の系統特性の違い
日本:事業規模大、会社毎の系統の独立性高。東西でのサイクル異。細長い「くし形系統」、連系系統弱い(→安定度リスク大)
米国:事業規模小、会社毎の系統の独立性低。広がりのある「グリット系統」、連系系統強い(→安定度リスク小)

(9)結論
(イ)電力市場自由化の制度設計は、「オーダーメード」でなければ成功しない。
(ロ)電力ビジネスの解体、人工的競争システムはかなりの確率で「ゲーム」を起し、顧客・社会が犠牲となる。しかも(富が既に移動しているため)政策レベルで止めることは困難。
(ハ)必要なのは、多面的な開かれた議論。

2.質疑応答

Q.設備投資を止められない理由?
A.安定供給のため抑え切れないコストがある。他、政治の介入、利権とのバランスなど。

Q.自由化によって価格は安くなるのか?
A.マーケットにまかせると価格は絶対に安くならない、交渉力の弱いもの(家庭用など)が犠牲になる。グリーンパワー(風力、太陽光による電力供給)の一社は通常料金より20%割高でありながら啓蒙活動によって顧客が増えてる。競争モードになると環境への配慮がおろそかになる。

Q.なんのための自由化なのか?
A.電気料金の価格を下げるため。実は2000年10月の改定により顧客層によっては平均単価が10%以上下がっているが認識されていない。

Q.ゲームによって演出された限界費用は談合できまるのか?だとしたら半トラストではないか?
A.目的が同じ(最大利益追求)プレーヤーは自然と方向が一致する。また談合の証拠がない。

Q.日本の状況
A.2008年頃に電力不足が予想されている、誰が新しい発電所を作るのかが問題。これからの日本の電力会社はグローバル化が必要。電気だけでは顧客をつなぎとめられない状況になっていくので、多角化が必要。ガスとのアライアンスの可能性も。

(取りまとめ:船井総研 田淵広美)
Posted by gyosei-kanji
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