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第57回例会「遺伝子組換え食品をめぐる内外の動きについて」
(講師:厚生労働省医薬局食品保健部企画課課長補佐 今村知明氏)
2002年1月31日(木)、行政の将来を考える若手の会第57回例会が開かれました。今回の例会では、『遺伝子組換え食品をめぐる内外の動きについて』をテーマに、厚生労働省医薬局食品保健部企画課課長補佐の今村知明氏をお招きし、約15名(講師を含む)が出席して意見交換を行ったところ、主要点は次の通りです。

【講師からの説明】

遺伝子組換え食品については、「食品」という側面と、「遺伝子組換え」という側面から捉える必要がある。

(食品としての側面)
 安全な食品というものは存在しない。いかなる食品もリスクを有しており、食べ続けることによりリスクは蓄積する。遺伝子組換え大豆を例にとっても、遺伝子を組換えたことのリスクと、大豆を摂取することによる他のリスク低減効果との比較考量が必要。現在わかる限りの知見によればリスクは小さい。

(遺伝子組換えの側面)
○ よく知られているのは、害虫抵抗性や農薬抵抗性である。害虫抵抗性については、ある種のたんぱく質に対して、虫はレセプターを腸に持っているので栄養が吸収できずに死ぬが、ヒトはそのようなレセプターがないのでヒトには害はない。農薬抵抗性については、一度に大量の農薬を散布すればすむので、従来時間をかけて少しずつ散布するより農薬が残留する割合が少ないことが期待される一方、農薬への耐性があるがために従来以上の農薬を使用するというマイナス面もある。
○ 製法としては、遺伝子をふりかける場合、打ち込む場合、アグロバクテリウムを利用する場合等がある。実験の指針については、文部省がルールを定めている。まずは閉鎖系のなかで育て安全性の確認をした上で、開放系の中で環境への審査を行い、そこで安全性が確認されて本格栽培となる。
○ 安全性の確認については、比較して変わらない部分は実質的同質性とみなし、変わった部分の安全性を確認する。その際、〜箸瀑れようとする部分に問題(毒性、アレルギー等)がないか、∩箸濆む技術に問題がないか(通常では入らない余分なものが入っていないか)を確認する。事業者からの申請を受けて、薬事食品衛生審議会において、1〜2年で安全性を確認する。
○ 遺伝子組換え食品については、食品のリスクという点ではそれほど心配することはないが、環境や生態系への影響の方が問題となろう。 ○ 遺伝子組換え食品を避けるためには、より高いコストを払うことになるが、それは、今まで遺伝子組換えによるコストダウンという見えない恩恵があったのだが、本来のコストを支払っているに過ぎない。

(表示)
○ 遺伝子組換え食品を食べたくない消費者が選択できるように、表示が求められている。きちんと表示するためには、きちんと分別するシステムが必要。
○ 組換えている場合と不分別の場合は義務表示、組換えていない場合は任意表示。大豆油のように、DNAとたんぱく質が残っていないものについては、表示は不必要だが、豆腐、納豆等残るものについては、表示の対象。表示については、抜き取り調査を行う。

(国際的な動向)
○ 遺伝子組換え食品をめぐる国際的な動きについては、アメリカは推進派、EUは慎重派、としてその両者が鋭く対立してきた。現在コーデックス委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)で国際ルールが議論されている。日本はバイオテクノロジー応用特別部会の議長国として活躍している。同特別部会で議論されている安全性の問題については、アメリカとEUの間にも歩み寄りが見えてきた。一方、表示については、カナダが議長国である表示部会で議論されているが、アメリカとEUは激しく対立している。
○ アメリカとEUの現在の対立も、現在アメリカが所有している特許が2年後に期限が切れることや、EUがチーズ発酵への応用に関心を示すなど、今後様相が変わる可能性がある。

【質疑応答】

(参加者)アメリカの消費者は遺伝し組換え食品に対してどのように考えているか。
(講師)かつては賛成していたが、混入事件があって以来不信感を持つようになり、今では「組換えでない」ものの商品化が進んでいる。

(参加者)中国はどのような態度か。
(講師)かつては反対していたが、今は賛成している。

(参加者)日本の種会社は開発しているのか。
(講師)日本の種会社が開発するというのはあまり聞かない。アメリカでも農薬を製造する薬品メーカーの開発が多い。

(参加者)コーデックス委員会のような国際会議では各国が自国の利益を主張すると思われる。専門的な内容なので、テクノクラートの独壇場となるのか、それとも政治の力が支配するのか。
(講師)テクノクラートがリードしている。始めに政治決着を図ろうとしたが失敗したので、テクノクラートの手に委ねられた。ただし、ワーキンググループレベルではまとまるが、本会議となると各国が本国政府・業界の意向を踏まえることになりまとまらなくなる。とはいえ、期限が切られているので、妥協は成立するであろう。

(参加者)医薬品への利用はどうか。
(講師)医薬品には古くから利用されてきた。閉鎖系で利用されることもあり、大学の実験室で試行錯誤を経ながら開発されている。将来的に効能のある食品(ワクチンバナナ等)が開発されるかもしれない。

(参加者)環境と経済、環境と開発の両立が重要だと考えている。先進国では安全基準が議論されているようだが,アジア・アフリカの途上国に対して、安くて良い食料ができて飢餓をなくすことはよいことではないか。
(講師)途上国の間でも遺伝し組換え食品の問題は賛否両論ある。中国は2年程前に自国で開発して以来、反対から賛成に転じている。途上国では自国の農業を守る観点から反対している。

(参加者)安全性や表示に関して国際的なルールがない段階では日本独自のやり方をすることになるのか。
(講師)貿易障壁をなくすことを目指して、WTOが発足した。コーデックス委員会は、かつては、世界各国のルールの平均値のようなものを作っていたが、WTOの発足とともに、WTOより衛生上・規格上の基準作成を委ねられ、政策方針会議へと変貌した。コーデックスの基準に沿っていれば、WTOの俎上にはのぼらないこととされた。日本の消費者が安全性に強い関心を持ち、また、日本の農業は遺伝子組換え技術で多少コストが下がっても、海外の農産物には太刀打ちできない。
 これまで交配では時間がかかっていたのを、遺伝子組換え技術は短期間で結果がわかる。品種改良を早く進めることができる。
 これまでは生産性向上という生産者のメリット中心であり、これからは消費者のメリットがより重視され、さらに次の段階では、苛酷な自然条件でも生育可能なものといったものが出てこようが、そのようなもののリスクを許容できるのかが課題。

(参加者)この分野では専門家が少ないと思われるが、決めたルールを守らせる仕組みはどうするのか。
(講師)遺伝子組換え技術について、開発の専門家は多いが、監視の専門家は少ない。自分たちとしては、安全性を確保するための基準を作成した上で、現場での食品衛生監視員が実際にどうすればよいのか、その詳細についてマニュアルを作成している。国→都道府県→保健所の食品衛生監視員という体制があり、また、業界をまわる指導員が全国に20万人いる。

(取りまとめ:厚生労働省医薬局食品保健部新開発食品保健対策室 池永肇恵)
Posted by gyosei-kanji
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