行政の将来を考える会

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第32回例会「男女共同参画社会へ向けて−日本から世界へ」
(講師:総理府男女共同参画室参事官補 山田雅彦・池永肇恵氏)
1999年5月26日(水)、行政の将来を考える若手の会第32回例会が開かれました。同例会では、「男女共同参画社会へ向けて−日本から世界へ」をテーマに、総理府男女共同参画室参事官補の山田雅彦氏と池永肇恵氏を講師としてお招きし、24名(講師を含む)が出席して意見交換を行ったところ、主要点は次の通りです。

1.男女共同参画社会について

(1)「男女共同参画社会」とは何か

●男女共同参画社会の定義は、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ共に責任を担うべき社会」というものである(男女共同参画社会基本法案第2条第1号)。

●男女共同参画社会基本法は、テーマが広範であること、ジェンダーの視点が入っていること、ポジティヴアクションが入っていることに特徴がある。最後の点については、改正雇用機会均等法にも盛り込まれている。

(2)男女共同参画の現状について(「男女共同参画白書」に従って)

●今般の白書は国際比較に重点を置いている。

(イ)公的分野における政策・方針決定過程への女性の参画

●男女共同参画の進展度を測るための指標として人間開発指数(HDI)、ジェンダー開発指数(GDI)、ジェンダー・エンパワーメント測定(GEM)がある。日本の順位はそれぞれ8位、13位、38位と、政治・経済参加の度合を計る指数ほど順位が低くなっている。特に国会議員、管理職関連の指標が低い。なお、英国は、この5年くらいで順位を上げている。

(ロ)就業の分野における男女の共同参画

●年齢別労働力率(人口のうち働く意図のある人の率)は、20代前半と40代後半をピークとし、30代前半をボトムとするM字型カーブを描く。なお、韓国も同様である。この年齢別労働力率の基礎となる統計は、総務庁の調査員が抽出調査している。

●M字カーブを是正するには、(1)育児休業を活用して同じ会社での継続就業を容易にする、(2)育児等のキャリア中断後、別の会社での再就職を可能にするという2つのアプローチがある、ただし、それぞれの年代でどのような職業能力が要求されるか、転職のあり方をどのように考えるかといった哲学的とも言える問題にもかかわることでもあり、一概にどのアプローチが適当かについて結論を出すことは難しいと思われる。日本でM字型カーブが是正されるのは、男性の雇用が不安定になり女性も勤務せざるを得なくなるとのシナリオの可能性が高いという悲観的な見方もある。

●中高年女性の職場復帰の際に、パートタイマーの率が高いのは、日本のみならず世界共通の現象である。

●女性の就業率は、サービス業において特に高い。これは全世界に共通する。

●日本の女性の管理的職業の就業率は9.3%で、先進国の中で低い水準になっている。

(ハ)男女の家庭・地域生活

●職場と家庭の労働時間を見ると、30歳以上では、女性有業者の仕事時間は男性有業者の仕事時間より長くなっており、統計から見る限り、「女性は家庭、男性は仕事」ではなく、「女性は仕事と家庭、男性は仕事」というのが現状である。

●日本の平均初婚年齢の上昇率は他の先進国に比べて低い。更に、婚外子の割合が他の先進国に比べて非常に低い。

2.男女共同参画における国際協力

(1)APECにおける活動

(イ)女性問題担当大臣会合

●APEC(アジア太平洋経済協力)は、貿易・投資、経済・技術協力等経済問題が中心テーマである。女性問題に関しては恒常的な組織はなく、昨年10月にアドホックな会議としてフィリピンで女性問題担当大臣会合が開催された。女性問題に関しては、APECの中でもカナダ、フィリピンなどが熱心であり、そういった国が動いてこのような会議が実現した。

●APECでの女性問題に関する活動は、途上国の間で特に活発である。それは、途上国に女性閣僚・管理職が多く、意識的に女性の地位向上を組織立ってやろうとしているからである。先進国に目を向けると、米国とカナダには考え方に差があり、カナダは男女差に考慮するというジェンダーの視点を広めようとしているのに対し、米は、男女の扱いに差をつけないようにしているという印象を受ける。日本は他の参加国と比較して遅れを取っており、かつては日本と同様に遅れていた韓国も近年大統領直属の機関を設けるなど取組みを強化している。

(ロ)タスクフォース

●大臣会合において、APECの各プロジェクトで活動の指針となるような、「APECにおける女性の統合のためのフレームワーク(枠組み)」の策定及びその推進のためのタスクフォースの結成が合意され、本年2月に第1回タスクフォース会合が開催された。フレームワークの具体的要素としては、ジェンダー分析のガイドライン、性別データの収集と活用の改善、女性の参画へのアプローチ、フレームワークの実行計画などが考えられる。

●ジェンダーとは、社会的・文化的に形成された男女の性差(役割分担)を指す。こういった男女差を考慮しないと能力を発揮できないとの認識がある。

(ハ)WLN

●WLN(Women Leaders Network from APEC Economies)というAPEC各界(産業界、政府、学界、市民団体等)の女性からなる非公式なネットワークが組織され、本年は6月20−23日にニュージーランドで年次会合が開催される。

●APECにおいては、組織のスリム化が唱えられ、新しい恒常的な組織を作ることには批判的であるなかで、WLNのような非公式なネットワークは、政府・民間の新しい柔軟な連携の形であると言えよう。

(2)東アジア女性問題国内本部機構上級者担当会議

●本年6月16−20日まで、本会議が総理府の主催により東京とつくばで開催される。

(3)国連婦人の地位委員会

●本委員会は、1946年発足し、1988年からは毎年開催されている。今年の3月に開催された委員会においては、北京行動綱領のフォローアップ、国連の「女性2000年会議」(2000年6月開催予定)へ向けての議論等が行われた。

3.自由討論における主な意見

●女性の雇用機会を増やすことと、少子化を防ぐことという2つの目的をいかに両立させるのかが問題である。女性の働く機会が増えるのはよいが、出生率が減ることはないのだろうか。(女性の就業率が上がることと、出生率が下がることには連関性がないのではないかとの反論あり)。

●少子化対策、女性の就業促進策はそれぞれ政策手段は異なるが、子供を産む人と働く人が別々ではないのだから、政策の整合性が図られなければならない。

●国際比較ではなく、日本自身のために、なぜ男女平等が大事か、なぜ女性の管理職を育てなければならないのか、日本の利益を考えながら状況を考える必要があるのではないか。

●少子高齢化で労働力が確実に不足する。そのような中で、所得を生み出すためには女性は働き手としてますます重要になる。そうであれば、政策のなかでどのようにそれを支えていくかが課題である。職場の中で、子供を持ちながら働くことを可能にするのが重要であり、企業に対してそのための助成をしたり、場合によっては政策的に強制することもあり得るのではないか。

●個人として仕事と子供を巡ってどのような選択が望ましいかという問題と、国の政策として何を推進することが望ましいかという問題とは違う。すなわち、仕事や子供の問題は個人の自由であって、国が強制するものではない。しかしながら、国としては、少子高齢化にあたって、子供を産みたい人、仕事をしたい人にとっての障害を取り除き、また、子供を産み、仕事をする人が増えるような政策を実現すべきだと思う。

●21世紀に向けて、どのように家庭を支えて行くかについて、男女共同参画を推進する人々と、いわゆる「古風」な人々の間で、議論が深められていないのが問題である。推進派がいくら推進しても、「古風」な人々の声無き声によりつぶれてしまっては進展がない。(年金と女性の問題についても、ジェンダー中立的にすれば損する人が出てくるので、抵抗が大きくなるとの問題がある。ともかく議論を進めていく中で、コンセンサスを形成するしかないとの補足意見あり)。

●イタリアのファシズムでは、埋めよ増やせよが奨励されたが、このような人口政策への反発が生じた。イスラエルも同様の問題がある。子供を持って幸せな家庭を持つことが理想との価値観を示すことによって、そうでない人々を排除してしまうのではないか。

●先進国がジェンダーの問題を取り上げて他国の政策に介入することは、内政干渉ではないか。

●女性が働くことはそんなに偉いのか。専業主婦ではいけないのか。

●男性にも、働くことが楽しくない人も多いのではないか。女性が働いて稼いでくれればありがたいと思っている人もいるのではないか。男女共同参画社会の議論全体が、労働は楽しい、会社はつぶれない等を前提に進められているのが問題ではないか。

●男女共同参画社会の実現のためには男の働き方を変えなければいけない、という共通認識がある。

●就職氷河期に女性として就職したが、女性の総合職での採用が騒がれたときに、男性の中でも一般職になりたいという人がいた。また、女性の中でも派遣社員を希望する人もいた。一般職にも男性を入れてはどうか。(社会的に認められるのであれば、男性でも専業主夫になったり一般職についたりする人になるのではないかとの補足意見あり。)

●米国のある企業では、製品の販売方法、仕様等を市場(企業、一般市民)が自由に選択出来るよう、選択肢を多数提供することを行い圧倒的な人気を得ている。また、シンガポールでは能力があれば男女関係無く仕事が与えられ、ある企業のマネージャーの殆どは女性だった。激変した世界で国際競争力を保っているのは、こうした米国、シンガポールである。残業についても、強制ではなく本人の選択の結果である。また、女性の就業率上昇と少子化をセットにして問題視するのも誤りではないか。男女に関係無く、個人としてやりたい事が選択出来る社会にすることが先決である。個人の選択の自由が進み、結果的に少子化の問題が深刻になった場合は、少子化対策をどうするかということを別の話として取り組むべきである。

●今の日本の社会は、男性の選択肢は高く、女性の選択肢は少ない。女性に仕事を奨励することは、女性にボロボロになれというに等しい。

●最近会社では、育児休暇制度を利用する女性が増えているのが実情である。

●地方公共団体でも、保育所が少ないなど苦情が多いが、そもそも男女共同参画や少子化をどのように考えるかについて、まず議論する必要がある。
Posted by gyosei-kanji
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