行政の将来を考える会

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第33回例会「政策シンクタンクの現状と将来−政策を構想する担い手について考える」
(講師:構想日本パブリシティ担当ディレクター・西田陽光氏、東京財団研究員・政策分析ネットワーク事務局長・片山泰輔氏)
1999年7月26日(月)、行政の将来を考える若手の会第33回例会が開かれました。同例会では、「政策シンクタンクの現状と将来−政策を構想する担い手について考える」をテーマに、構想日本パブリシティ担当ディレクターの西田陽光氏と東京財団研究員・政策分析ネットワーク事務局長の片山泰輔氏を講師としてお招きし、19名(講師を含む)が出席して意見交換を行ったところ、主要点は次の通りです。

1.構想日本の活動(西田陽光氏)
http://www.kosonippon.org/

(1)構想日本は1997年4月9日に正式に発足し、現在3年目に入っている。多くの人の政策提案を、運営委員、政策委員及びテーマに関して専門家が参加した政策委員会で議論した上で、テーマに応じたキャンペーン活動を進めている。

(2)これまでシンクタンクと言われて来た組織との違いは、委託先のニーズに応じて活動し収入もそこから得るあり方と異なり、非営利で政策提言を行うことである。構想日本は、政策ベンチャーとして、社会変革を目指す活動を評価して下さる方々に支援いただいている。支援者からは、活動に対して口は出さないが、社会に対し「構想日本の活動に意義があると認められなければ支援を終了させる」こととなる現実的な厳しい評価の中で活動している。

(3)これまでの成果としては、中央省庁設置法、NPO支援条例、民法の公益法人規定の見直し、税制改正、地方財政、税制改正、国会機能強化、公職選挙法改正、新しいワークスタイル研究、環境保全型地球モデル、教育改革、国・自治体のバランスシートなどが挙げられる。タイミングの良いものを優先的に出して行くことが極めて重要であると考えている。

(4)運営委員は、加藤秀樹及び私以外は兼業である。ボランティア参加スタッフは10名に過ぎない。プロジェクトについては、例えば中央省庁設置法については政策研究大学院大学の飯尾潤助教授、国・自治体のバランスシートは公認会計士の廣田達人氏が担当して行っているように、プロジェクト単位にメンバー編成を行う。編成、期間も様々であり、事務局スタッフはより適切なサポートが出来るように努力している。

(5)構想日本は「場の提供」である。どんなにすばらしい知識が存在していても活かされないことが多い中で、構想日本という場を通じて、それらが社会に提示出来るようプロフェッショナルなサポートをするようにしたい。シンクタンクには膨大な資金が必要と思われているが、現在のところ実際には家賃と若干のスタッフ経費と必要経費のみであるのは、多くの方々のボランティアによる志のお陰であり、JIの場を生かして下さっている。

(6)パブリシティには最大限の配慮を払っている1つである。世の中にシンクタンクの研究成果は数多くあるが、社会の中で実現に至るものは少ない。政治家、オピニオンリーダー、官僚などに対し、必要ならば繰り返し働きかける「キャンペーン」を行い、様々な方々の理解を得てきた。例えば、中央省庁設置法については、このキャンペーンの結果、大手新聞をはじめ多くのメディアに取り上げられ、実現にまで至った。政策は、単に作るのみならず、具体的な実現に向けてのアクションプログラムが不可欠である。国や自治体、政治家やメディアなど多くの人々の理解を得るよう、対象に応じて様々な伝え方が伝える場を作っている。今後、理念や理論の整理、法案などの具体策づくり、実現のためのキャンペーンを1人でやるのは大変である。様々な団体や研究者が得意技を生かしながら連携でやってゆくことが重要である。民間の政策立案がとことこ行われるようになれば世の中はダイナミックに変わると思う。

2.政策シンクタンクと政策分析ネットワーク(片山泰輔氏)

(1)政策シンクタンクの3つの段階
 政策シンクタンクの定義は明確ではない。米国でもこの状況は同じである。しかし、その活動の性格は次の3段階に分けられる。同じシンクタンクであっても、イッシューにより研究・分析、コンサルティング、アドボカシーの3つが混在しており、グレーゾーンも存在している。
(イ)政策研究・政策分析
 政策に関する選択を行うための判断材料を提供するもので、これがシンクタンクの核となる活動である。これを担うものは、シンクタンクや大学である。
(ロ)政策コンサルティング
 特定のクライエントの問題解決のために、政策研究・政策分析を使うものである。これを担うものは、シンクタンク、大学、そしてコンサルティングファームである。
(ハ)政策アドボカシー
 実際に特定の政策の実現(実施、執行)まで行動するものである。これは、シンクタンクのみならず、圧力団体、市民団体でも行われている。

(2)政策研究と政策提言
 シンクタンクのレゾンデートルは「政策研究」であり、「政策提言」はシンクタンク以外も行い得る。

(3)政策シンクタンクの組織(法人)形態
 政策シンクタンクの組織(法人)形態には次の3つがある。
(イ)営利法人
(ロ)非営利法人(財団法人・社団法人、その他、学校法人・国立大学)
(ハ)政府(各種研究所など)

(4)政策シンクタンクのファンディング形態
 具体的には、コントラクト、内部補助、民間助成・寄付、公的資金などがある。ファンディングをひとつに依存すると、中立的な政策提言が行いにくくなる。非営利の寄付金ベースで行っているブルッキングスのような機関もあるが、営利のもの、政府関係のものも多数あることに留意する必要がある。

(5)政策分析ネットワーク
(イ)日本の今までの政策決定は、複数の政策の選択肢の比較考量によるものでなく、むしろ利害関係者の調整の結果であることが多かった。しかし、資源は限られており、調整のみで物事を決めるのは限界がある。判断材料となるような研究が量的にも質的にも多いことが必要である。この促進のために政策分析ネットワークが作られた。
(ロ)米国にも同様な組織として、APPAM(Association for Public Policy Analysis and Management)があり、二十数年の歴史を持っている。毎年コンファレンスをやり、実務家と研究者の議論の場として活用されている。米国は、見方によっては日本より政治的なのかもしれないが、政策決定のインフラを作るための、このような地味な活動が存在することは重要と考えている。
(ハ)政策分析ネットワークは、営利シンクタンク、非営利シンクタンク、大学、官庁、地方自治体のシンクタンクを一堂に会して比較し、共通の知的インフラを作ることが目標である。現在会員は400名であり、12月のコンファレンスまでに1000名としたい。

3.質疑応答・自由討論における主な意見

●これまで政策シンクタンクが活用されなかったのは、日本の意思決定が利害関係者の利害調整によりなされてきたことによる面が大きい。たとえ政策研究があっても、政策決定には使われなかった。他方で、政策研究者の側も、アウトプットを実務家の活用に適したものにしなかった点にも問題がある。

●例えば、通商政策について、米国は膨大な実証研究をもとに議論してきたが、日本はこれに相当する実証研究がなく苦労したと聞いたことがある。

●これまでは、良い政策研究があっても、それをプロデュースする人がいなかった。政策研究者とプロデューサーのジョイントワークで進めていくべきである。また、日本は良い政策を打ち出したから誉められるというシステムでなく、減点主義である場合が多い。政治家についても、往々にして次の選挙につなげるための活動に追われ、政策秘書もそれに忙殺されている。

●公的機関にいる人は、相手に合わせた説明をしない。相手の言語と相手の思考体系に合わせた発言をすることが極めて重要である。政治家は票田で動く。票田は大衆で動く。大衆はメディアで動く。メディアは関心で動く。例えば中央省庁設置法については、新聞社の経済部に対しては、景気対策等取材対象と設置法がどのように関わるかを説明するなど、相手側の関心に合わせて説明を変えることとなる。

●シンクタンクが政策を評価することが、行政に対する批判と受け取られるのは、日本社会においては、常に1個の正解があると考えられがちだからである。これに対し、アメリカでは正解がない。日本は、この意識を変えていかないと、政策評価をする努力をしても、民主的な選択の土台になっていかない。例えば、公共事業の自己評価は、どうしても甘くなり、自己アピールしがちである。政策目的を達成するためという観点から、失敗はダメといった見方を変える必要がある。この点が、ブレイクスルーできるかの正念場である。ある市町村が失敗しても、これを隠すことにより、他の市町村も同様の失敗をすることになる。反対に、失敗を明らかにすれば、それ以後の失敗を防げることになる。

●東京都庁の都営12号線が6000億円から9000億円に経費が上方修正されたが、その際にそれを正当化するシンクタンクの研究が出された。(これに対し、お手盛りの研究をしても、それが公開されれば別の分析が提示され、この繰り返しにより良い選択が実現されていくものであり、米国にもお手盛りの研究が多い旨の指摘があった。)

●日本の学会では、閉鎖された暗い部屋で、普通の日本人ではわからないような議論がされている。これに対し、専門分野でない人もわかるような形で政策を提示すべきである。それであれば、研究者の研究成果も採用されると思う。

●行政評価のうち、執行評価は基準が明確であり比較的容易で、契約や通常の公的資金で可能だが、政策評価は長い歴史的、多面的評価が必要であり困難である。このような政策評価のための研究については、寄付金や中立的な資金を用いることが適当である。

●情報公開が充分でない現在の状況では、政策評価ができる状況にはない。

●構想日本は、批判するより、良いと思うものを実現するとのスタンスをとっている。また、政党との関わりについては、政策を通すためには、現実に可能なところから協力を得る。他方で、見返りを求めないので、特定の政党と結びつきを持つ必要がない。政党から下請けの依頼があったが、他のシンクタンクに依頼してほしいと断った。お金をもらわない強みはここにある。

●一部住民が反対する都市計画案件などでは、シンクタンクなど第三者機関が出すデータは公平性・信頼性があることから、シンクタンクは「かけ橋」としての役割を果たせるのではないか。

●全ての人にとって良い政策はない。何かの政策をすれば被害を受ける人がいる。これまでは、被害を受ける人をなだめる政策をとってきた。これに対し、特定の利害関係者以外の人も含めて、皆が納得できるシステムを描くのが重要である。シンクタンクは特定の紛争を裁くことはできず、完全に中立ということはあり得ない。

●現実路線の中で、未来的に近づくために現在何をすべきかを考える必要がある。アクションプログラムのない理想論は不要である。サッチャー政権の良いところは、各段階でのアクションプログラムがあったことである。このような政策提言でないと意味がない。

●(将来的に、政策でメシが食えるか、政策を考えたいがメシを食えない場合にどのような生き方があるかとの質問に対し)官公庁の契約による政策研究は1200億円ある。また、政策と関わらない仕事はなく、様々な仕事の中で、主体的に政策に関わっていくことはできる。政策立案は地道な仕事であり、専門の分野を磨くことが大事である。

●構想日本にも他のシンクタンクに所属する人が多くいる。多くのシンクタンクでは、やりたいテーマをやる部署に配属されることが少ない。

●政策シンクタンクの中にも、即座に政策実現につながらない仕事をしているところもある。例えば、米ブルッキングス研究所は実際の政策立案からは遠いが、大学教育(大学の教科書の発行)を通じて、長いスパンで政策形成に影響を与えようとしている。

●省庁の中には斬新な人もいるが、ポジションのために発揮できないということがある。組織の組替えは、人材を良くする。

●シンクタンクのなかで、(営利シンクタンクに多い)契約研究と(非営利シンクタンクに多い)自主研究にはそれぞれの特徴がある。
(1)自主研究のシンクタンクは、取材しなければ情報は入ってこないが、自由に研究し、その成果も公開しやすい。
(2)契約研究のシンクタンクは、クライエントの問題解決が課題なので、クライエントを通じて情報が入ってくるが、バイアスが入りやすく、研究成果の公開も難しい場合が多い。
Posted by gyosei-kanji
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