行政の将来を考える会

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第34回例会「バス事業の新たな動き−都市交通の将来像を考える」
(講師:株式会社東急トランセ・管理部課長代理 坂本織也氏)
1999年8月25日、行政の将来を考える若手の会第34回例会が開かれました。今回の例会では、「バス事業の新たな動き−都市交通の将来像を考える」をテーマに、株式会社東急トランセ・管理部課長代理の坂本織也氏を講師としてお招きし、12名(講師を含む)が出席して意見交換を行ったところ、主要点は次の通りです。

1.経歴

 東急電鉄株式会社に入社後、2年目から自動車部(=バス事業)に配属され、平成3年10月の分社化に伴い東急バスに移った。更に、昨年東急トランセ(東急バス100%出資)の立ち上げを担当し、設立と同時に同社も兼務。現在は東急バス及び東急トランセの中核社員として経営管理を担当している。

2.バス事業の現状

(1)バス輸送への需要は、昭和45年頃をピークに伸び悩んでいる。その理由としては、「モータリゼーション」と「鉄道新線の発達」が挙げられる。この結果、バス事業は路線の改廃と運賃改定(値上げ)による対応を余儀なくされてきた。

(2)都市のバス事業については、交通渋滞、運賃割高が問題であり、地方のバス事業は過疎化と路線廃止・路線維持補助金が課題となっている。

(3)これらを背景に、現在取り組みが進められているものとしては、
 (イ)低公害車(電気自動車等)、
 (ロ)コミュニティーバス(武蔵野市が1995年にムーバスを始めたのが有名)、
 (ハ)パークアンドライド、
 (ニ)オムニバスタウン構想(バスを公共交通の中心に据えた町作り・静岡県などで計画)等が挙げられる。

3.『規制緩和』に向けての様々な動き

(1)予想される規制緩和としては、まず需給調整規制の撤廃や運賃の自由化が挙げられる。これは、安く使いやすい路線を可能とすることがねらいである。しかし、これにより新規参入及び撤退も一層自由になることから、不採算路線の維持が問題となる(バス会社の中では、2割程度の会社しか黒字となっていない)。また、入札制なども行われるようになろう。

(2)このような規制緩和によるバス事業の革新としては、乗合タクシー、100円バス、ミニバスなどが挙げられる。

4.東急トランセの設立及び概況について
http://www.tokyubus.co.jp/transses/top.html

(1)従来のバス事業が人件費の割高(運転手の年収は平均約800万円)等を背景に停滞する中で、東急バスの中で若手が狩り出され、東急トランセが設立された。

(2)新しいアイディアとしては、全員女性運転手とした他、人事制度も年俸制を取り入れた。開始時は、車4台、女性9人でスタートした。採用した女性運転手は、花屋、OL、元自衛隊員、トラック運転手等様々で、当初は平均年齢27歳となった。また、代官山近辺を選んだが、これは交通渋滞がなく、客層が多様で採算性も見込めたことによる。運賃は、武蔵野市のムーバスと同じ100円が念頭にあったことから、運転手の賃金を抑え込み(通常のバス運転手と比較し大幅なコスト削減となる)低運賃を実現した。ただし、プルミエからシニア、チーフへと資格が上がるにつれ年俸が上がって行く形とした。これにより、大人1人150円、2人目以降複数人数割引100円、日曜祝日100円の料金設定を実現した。その他、停留所名を必ず運転手に案内させる、バス停の間隔を狭くする(通常300メートル毎を約170メートル毎に)等の手当てをした。

(3)運転手は「サービスプロバイダー」と呼ぶこととした。これは、運転以外の業務、特にサービス・接遇をやらせるからであり、非番の時は一般事務もさせている。

(4)最近は、東急バス自体がコスト高のため自ら運行した場合に採算が合わない路線について、東急トランセが受託するとの形をとって、業務を拡張している。

(5)年俸制なので、評価が大変である。覆面の評価スタッフを雇っている。ただし、サービス・接遇などを重視しており、そのような評価項目を取り入れている。

(6)経費のうち人件費(事務職員を含む)が75%を占める。これまでもワンマンにするなど合理化を図っているが、現状はこうである。収入は運賃が大部分であり、広告収入は若干に過ぎない。老人パスは10%程度であるが、これが有料化されると経営が悪化する。

5.今後のバス事業の展開について

(1)情報化としては、ロケーションシステム(あと何分後に到着する等の情報を提供)、PHS・ポケベル等の文字情報システム、GPS、VICS、ITS等の手法があるが、コストに跳ね返る点が課題である。

(2)環境問題への対応も課題である。ただし、マイカーからバスへ乗り換えること自体で環境が改善できる。

(3)高齢化社会、福祉社会への対応ということで、超低床バスを入れたかったが国産では存在しなかったので、低いステップが外に自動的に出る車種を導入した。

(4)他の交通機関との連携・競合への対応として、共通乗車カードや、コンタクトレス・スマートカード・システム(ICカード)、バスレールシステム、交通連接点などが挙げられる。なお、規制緩和として、バスとタクシーの境界があいまいとなっているが、バスとタクシーはニーズが違っているので、競争でなく共存が課題である。例えば、バスとタクシーが相互に接続するような仕組みができればよい。

(5)交通量の総量規制はやはり大きな課題である。都心の乗合バスは1割にも満たないので、ロードプライシング、エリア・ライセンシング、ナンバー規制等を行い、自家用車を減らすことで交通渋滞をなくすことが出来る。北海道には公共バス信号優先システムまで存在する。

(6)また、適正価格が可能となるような、低コスト化、経営の合理化も課題である。京王、神奈中等では、分社化による低コスト化が進んでいる。

6.都市交通のあり方について  

 都市計画と調和された体系的な交通計画、公共交通としての使命のあり方が課題である。

7.質疑応答

●東急トランセは、女性ドライバー(サービスプロバイダー)の採用、訓練、管理等にノウハウがあるので、サービスプロバイダーの他のバス会社等への派遣を業務の核として考えてはどうか。現在の営業可能地域を超えた事業展開が可能になろう。東急グループのネットワークを利用すれば、日本エアシステムや東急ホテルチェーンでの接客研修など、他社にはない訓練の機会があり、プロバイダーの競争力強化や、入社希望者に対する魅力作りの観点からも面白そう。

●人件費を2割圧縮して、情報化や低公害化を図れないか。自動車会社も、低公害化に投資すべきではないか。(他方で、人件費削減といっても、生活を切るわけにはいかないので、低コスト化は進むのか疑問であるとの意見あり。)

●個人主義が進む中で、やはりマイカー、自転車に勝るものはないのではないかという気もする。

●都バスは民間バスよりコストも運賃も高いところ、分割民営化をすべきではないか。(分割民営化されても採算が成り立つか疑問との意見、民間バスへの業務委託を徐々に進めて縮小するのが現実的との意見、民営化に際しては接続などが確保されなければならないとの意見あり。)

●路線図や乗り継ぎに関する情報提供をもっと充実すべきである。また、乗り継ぎOKの料金体系が望ましい。(乗り継ぎOKに出来ないのは収入減を恐れているのではないかとの指摘あり。)

●ある程度の広域性を確保した上での交通体系全体のシステム化(行政の介入)と個別の会社の自発的イニシアティヴの尊重(規制緩和)の双方を実現するのは難しいのではないか。(企業同士で共通カードを発行する等の例もあり、不可能ではない旨の反論あり。)

●バス停を1つ動かすのに国の許可が要るということが話題になったが、調べた結果、その時点ではそれは事実ではなかったと聞いている。

●神奈中、小田急、関東、東急など限られた会社を除き、バス会社は補助金がなければほとんど赤字というのが実態であり、それを如何に支えるかが課題である。

●バス路線をやめるにも、地元の住民の了承をとるなど手続きが必要である。このような規制がなくなった場合に、不採算路線について、企業の論理を通してやめてよいのか、公共交通としての役割を念頭に営業を続けるのかが、大きな問題である。

●6年前に長野県で郵便局長を務めた際に、配達に1時間かかるところまで配達しけていたが、なぜそこまでやるのか疑問に思っていた。結局、どこまで公共機関がカバーするのかという問題となる。赤字になった時点で、不採算の部署が声を上げていくべきではないのか。全ての国民が同じ恩恵を受けなければならないというコンセプト自体を見なおすべきである。

●採算があわない時は、(1)やめる(2)別のサービスを始めるという選択肢がある。輸送するとのコンセプトを崩し、様々なサービスを始めるのも一案ではないか。(キャラメル、せんべい、米を売る等の複合サービスも地方では存在する旨発言あり。)

●10人乗りまでがタクシー、11人以上がバスとの規則があるが、これはあまり知られていない。
Posted by gyosei-kanji
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