行政の将来を考える会

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第35回例会「情報革命で日本はどう変わるか−21世紀の日本の産業像」
(講師:株式会社ボストン・コンサルティング・グループ/プロジェクトマネージャー 椿進氏)
1999年9月29日、行政の将来を考える若手の会第35回例会が開かれました。今回の例会では、「情報革命で日本はどう変わるか−21世紀の日本の産業像」をテーマに、株式会社ボストン・コンサルティング・グループ/プロジェクトマネージャーの椿進氏を講師としてお招きし、21名(講師を含む)が出席して意見交換を行ったところ、主要点は次の通りです。

1.はじめに

(1)米国より3年から5年遅れで、日本でも情報革命が始まっている。1997年から1年間、米国のシリコンバレーで勤務したが、その経験を通じて、なぜ米国経済の調子がよく、日本経済の調子が悪いかについて、初めて体感した。

(2)例えば、米国で不動産屋に行くと、張り紙やFAX、電話で仕事をするのではなく、全ての担当者がパソコンを使い、全ての案件が検索できる。また、引越する際のガレージセールをとってみても、自宅から電話して3分程度話をして、クレジットカード番号を言うだけで、全ての家財道具が処分できた。その費用は3000円で済んだ。一見アナログだが、電話の先はPCを使い自動で登録し、翌日の新聞に個人が気軽に広告を出せるのである。

(3)英国で産業革命が起きたのと同じことが、今米国で起きている。ある種の躁状態、バブルが存在する。それに伴って、従来の仕事の概念、会社の概念も大幅に変化してきている。

2.第三の波

 富の価値・源泉は、農地から資本、更に智恵・人に移行し、また富の蓄積単位も封建領主・国から企業、更に個人へと移行している。これが、現在米国の圧倒的な競争力を生み出し、これだけ好景気の維持を可能にしている。

3.現在誰が勝っているのか?

(1)会社としての価値を見るため、横軸に売上、縦軸に時価総額/売上をとって図表を作ると分類ができるが、この中で勝ち組は、彗星型(図表の左上/ヤフー、アマゾンドットコム、マイクロソフトなど)、局地戦制圧型(図表の中央/デル、インテル、ディズニーなど)、巨大安定成長型(図表の右中央/NTT、IBM)、負け組(?)は、斜陽産業型(?)(図表の底辺/日立、NEC、松下など)となる。例えば、ヤフーはNECを2つ買える時価総額を持っている。

(2)株式時価総額ランキングを見ると、日本は上位25位中NTTとNTTドコモしかない。その他は大半が米国の企業である(マイクロソフト、インテル、IMB、シスコ、AT&Tなど)。

(3)日本の将来は、如何にこの新たな産業分野で新たな起業を実現し、雇用を創出できるかに、ほとんどかかっている。具体的には、既存の企業がこの点でどの程度力を振るえるのか、あるいは新たなヴェンチャー企業がどの程度生まれてくるのかによる。

(4)日本の国民性から、このような起業促進は困難と言う人がいる。しかし、以前、日本企業が一人勝ちした時には、米国からコンサルタントが来て研究した際、教育水準の差、労働組合の差、文化の差があるので追いつきようがないとの議論が大勢だった。しかし、米国は日本の経営方式を上手にコンセプト化して習得した。これと同様に、日本も米国のやり方を吸収できると考える。

4.シリコンバレーモデル

(1)この変化は個人の生活様式も変える。企業のために働くのは日本と韓国しかない。中国はお金と血縁で動く。シリコンバレーでは、あのアメリカ人が徹夜で働いているが、それは面白いからである。自分がやっていることが最先端であり、うまく行けば儲かるということを実感しており、一種の学園祭の準備のノリで仕事をしている。

(2)生産性を計るある指標によれば、単に命令してやらせる場合の作業効率を1とすると、説明し納得させた上でやらせる場合の作業効率は1.6倍になる。それを、自発的、主体的にやる場合の作業効率は1.6の2乗倍(=2.6倍)になる。更に、これが自分の天命と思ってやると1.6の3乗倍(=4.1倍)になる。昔、松下幸之助が天理教信者の一心に働く姿を見て、これだと思ったそうだが、それと同じ原理であり、主体的にやっているか、使命だと思ってやっているかで大きな差がでてきている。

(3)特に、農業や工場では、五体満足できちんと訓練すれば作業効率に大きな差(2倍程度)がでないが、情報産業ではその差が無限大になる。このような状況下では、企業は個人が気持ち良く働ける環境を如何に整えるかに最大限の努力を傾注する。適正な雇用形態も、以前は年功序列だったが、今はより自由になっている。

(4)成長している分野は第三次産業であり、その分野で日本企業がイニシアティヴをとれるかが鍵である。

5.日本の情報サービス産業の進化

(1)固定電話は、2000年から固定料金制を導入する。今、日米の情報トラフィック差は100倍から200倍であり、コンテントも英語が圧倒的に多い。米国では回線の常時接続が普及し、コンテントも発達しており、旅行の予約を例にとってみてもインターネットが一番早くて安い。

(2)携帯電話は、日本がイニシアティヴをとれる数少ない分野である。高校生のパソコン普及率は20%程度だが、携帯電話の普及率は75%に上る。日本はパソコンより携帯電話を通じてインターネットが普及する可能性がある。これまでの10年はパソコン中心だったが、これからの10年は、携帯電話、テレビ、家電、映画がひとつになって動くので、いよいよ日本人が得意な分野になってきて、日本人がイニシアティヴをとれる可能性が極めて高い。

(3)パソコンは、Eコマースが2001年から急拡大する(米国では1998年にEコマースがブレイクした)。

(4)ゲーム機は、日本が世界でイニシアティヴをとれる2番目の分野である。ソニーはプレイステーション2を出したが、これもパソコン並みの普及率である。ソニーは2億台売りたいといっているが、これは現在のパソコンの台数とほぼ同じである。

(5)放送は、現在デジタルBS各局が番組編成に入っており、各局とも2−3チャンネル編成、うち1チャンネルは双方向とすることを考えている。デジタルTVも日本が将来イニシアティヴが取れる産業の有力な候補である。

6.デジタル化/双方向化の意味するところ

(1)「バリューチェーン」とは複数のサービスが1セットになって初めて消費者にとって価値を持つものであるが、これからは放送、通信、PC等がひとつになって、新たな「バリューチェーン」を形成する。このような業態間の壁がなくなる理由は、(イ)技術の壁がなくなること、(ロ)規制緩和が行われることの双方である。

(2)例えば、特定のホームページで一定額以上ショッピングをすることを条件にパソコンをタダで配るなど、壁をまたいだビジネスがどんどん起きてくる。その中で、限りなく大きなビジネスチャンスが生まれる。

7.日本での「情報革命の3つの鍵」−携帯電話、ゲーム、家電

(1)携帯電話
 日本人の携帯電話へのフェチ度は並大抵ではない。いまや一つのファッションとなり、一回持ったら二度と手放せない。NTTドコモのIMT2000とは携帯電話の第三世代である。現在、欧州(GMS)、日本(PDC)、米国の3つの規格があるが、現在欧州の規格が勝利している。しかし、2001年3月に、日本で第三世代がスタートし、02年に主要都市、03年に日本全国がカバーされる。その頃には、巨人戦の結果やサッカーの決定的シーンも携帯電話で見られるようになろう。これは日本が世界にイニシアティヴをとれる産業の1つである。

(2)ゲーム
 世界中の世帯のうち6割が何らかの電子ゲーム機を持っているとの統計がある。最先端のチップを作っている人達は、高速化の効用面で限界がきているパソコンよりも、ゲーム機の方が進化の可能性があると見ている。ソニー・プレイステーション2は2日で100万台を売るといっている。この機械でDVDも見られる。50Gのハードディスクを積むこととなろうが、これは情報量でいえば映画100時間程度の記憶容量があり、ビデオの代わりになるだろう。例えば、「SMAP」を登録しておけば、SMAPが出てくる全ての番組を自動的に録画し、それを高速スキャンで見られるようになる。また、物流機能もこれに搭載し、買物もができるようにすることも考えている。パソコンよりゲーム機が強くなり、勝てるかもしれない。

(3)家電
 ソニーは「フュージョン」構想を持っている。「ハコ売り」では付加価値がなく、「ネットワーク」で売ることを考えている。(NECも本日ようやくネットワーク構想を発表した。)「フュージョン構想」では、ソニーネットワークセンターの設置がポイントである。これにより、どの客が何を視聴し何を買っているかを把握できるようになる。従来、SONY、松下、NHK、朝日新聞など、どの企業を取ってみても、どの顧客が何を買っているかわからなかったが、今後は、例えば読む人に合わせて編集した新聞を配ることもできるかもしれない。これも日本が一番先端を走っているので面白い。

8.顧客のニーズを掴み、ロイヤルティーを高め、リピートに繋げる例

(1)アマゾンドットコムの売上は、リピートが7割近くになっている。巷でDMを蒔くと2−3%の反応があるが、アマゾンドットコムのDMのレスポンス率は50−60%。これは、顧客の購買パターン分析を活用しているためである(例えば、(イ)仕事の本は、著者でなく分野で買う。(ロ)趣味の本は、分野でなく著者で買う。かつ、休暇の前にまとめて2−3冊飼う傾向がある。(ハ)プレゼントの本は周期性が高く、毎年同じタイミングで買う。)この中で、ロイヤリティの高い客には特別のプライスダウンを提供することなどは、当たり前のようにやっている。また、コソボの空爆があると、メールで本を紹介し、高い反応率を得ている。メールも多ければよいわけでなく、客の嗜好を見ながら頻度を決めている。

(2)バス、電鉄も、客の利用パターンを掴めれば、定期券と別のサービスを組み合わせて提供するというのも一つのアイディアである。将来的には、パソコンを使って家からバスの位置までわかるようになるところまで行くかもしれない。

9.放送ビジネスの今後のドライビングフォース

(1)例えば、相撲など、好きな番組は予め取っておいてスキャンできるのは当たり前で、広告も顧客毎に変えるのは当たり前となる。競争が厳しくなる中で、収益を上げるには広告の価値を上げるしかない。また、双方向テレビでモノが買えるシステムを作り、流通に関与するといった方法で収益を確保することも必要となる。

(2)他の付加価値の取り込み方法としては、販売促進市場(8兆円)、交際費市場(10兆円)、トランザクション市場(120兆円)などが考えられる。なお、ウェットな人的関係の構築によるマーケティングは、2割の価格差があると離れてしまうとの分析がある。

10.合従連衡

 情報産業革命が起きた時には、1社では対応できない。自分で全ての分野をとり込んでもほとんど回らない。どれだけ良いものを集められるかによる。テレビ局も、5局とも残るとはとても思えない。NHKも、今民営化するのがチャンスである。ソニー、ソフトバンク等も中心となろうが、このような中で、何社が日本の企業となるかは興味深い。

11.現在の問題の構造(仮説)

(1)現在の日本は、第三の情報サービス革命の波に乗っていないこと、成長鈍化による構造問題が存在することなど、様々な理由で心理的ダウンスパイラルがあることが問題である。

(2)しかし、そのうちマイクロソフトなどのOSの付加価値がなくなり、このような新たな環境の中で、いかなる産業が発展していくかが、今後の日本の鍵である。

12.質疑応答

(1)(携帯電話をなくした場合のセキュリティはどう確保できるのか、データを全て消すのかとの質問に対し)そのような方法もあろうし、また指紋等によりセキュリティを確保する技術も実用化されることとなろう。

(2)(1.6の2乗、3乗の話の関連で、椿氏はどのような使命を持っているのかとの質問に対し)自分は米国のモデルを日本の復活に役立てたいとの気持ちをもっており、いかにベンチャーを起こすかという支援をしている。特に、先程述べた3つの産業を特に伸ばしたいと考えている。

(3)(ソニーの「フュージョン構想」のビジネスモデルは、株価に反映しているのかとの質問に対し)相関関係はあると思う。

(4)(プライバシーの扱いについて、いずれ規制の網がかけられるのかとの質問に対し)欧州で現在基準が議論されており、その中には、データは本人が閲覧できること、本人が修正要求できること、本人の要請なしに転売できないようにすること等が挙げられている。他方で、データを踏まえて顧客対応が行われるということで、顧客の満足度が向上するという面もある(バーでなじみになって顔を覚えてもらうのが嬉しいのと同じ原理)。

(5)(情報についての保険はできるのかとの質問に対し)情報の扱いについて保険をつくることはあり得るが、どう査定するかが問題である。

(6)役所の情報化について、東京都はパソコンが1人1台ないのはもちろん、インターネットもない。このような状況で日本は情報化が進むのか。(今役所に入って14年目だが、入省時ではワープロだった。あっという間に1人1台のパソコンと電子メールに変わった。これから加速度的に変わるであろうとの反論あり。また、東京都は競争がないが、中央省庁間では競争があるとの指摘あり。)

(7)不動産登記をとるために横須賀まで行ったが、これは電子化できるのではないか。公共投資はこのような分野の電子化に使うべきである。(ミレニアムプロジェクトで取り組みが始まっているとの反論あり。)

(8)今後、金融については、24時間株の売買が自由、金融商品も多様、売買が多い人は手数料タダ等の様々なビジネスチャンスがある。

(9)(パソコンができない老人がいるが、対応はどうなるのかとの質問に対し)両方のサービスが今後50年並存するのではないか。

(10)(なぜアメリカで最初に情報革命が起こったかとの質問に対し)産業革命がなぜイギリスかということと同じで、跡付けの理由しかないが、コンピューターの発祥がアメリカで、その後プログラムが英語で書かれる等、最先端の地の利があった。また、キーボード文化という要因もある。

(11)(プレイステーション2が、コンテンツ製作に映画並みの費用がかかる等、情報化、ネットワーク化の急速な進展にバックヤード、ロジスティックスなどの物的な部分が追いつかず、発展の足かせになるのではとの指摘に対し)確かに足かせにもなるが、そこにビジネスチャンスがあるとも言える。その不具合を見つけて直すのがビジネスチャンスである。

(12)(携帯電話は、今までの家電的なイメージがあるが、CDMAの特許とその収入は米国に握られているのではないか。また、CDMAの特許があれば作るのは簡単なので、中国が携帯電話の製造で発展するのではないかとの質問に対し)携帯電話のアプリケーション開発については、今後日本がトップになる。(日本は2001年から。欧州は2002年、米国は2003年から。)例えば、iモードのようなコンセプトを海外に売ることは可能である。また、ドコモなど主要会社は十分な資本を持っている。そもそも、携帯電話の市場は、端末機器自体より、キャリアやコンテンツ製作の人が儲かっている。この中で新しいビジネスを構築し、情報トラフィックで回収するビジネスを組み立てることが大事である。

(13)(情報産業の分野で、日本は米国に追いつけるのか、それともかなりの長期間に亘り後塵を拝すことになるのかとの質問に対し)日本は追いつけると信じている。単純に現在あるパソコンというドメインの中では追いつけるとは思わない。同じ道ではダメだが違うアプローチ(携帯、ゲーム、デジタル家電)で追いつけると思う。ただし、今は米国で良いサイクルで回っており、また、米国も馬鹿ではないので、情報産業の保護育成、振興を行っており、簡単に日本が勝てる訳ではない。

(14)日本人の横並び体質がプラスに働くか否かはわからないが、成功企業のコンセプト・方向性がはっきりしてくると、次々に既存の企業が追いついてくると思う。

(15)((イ)日本も米国の情報ハイウエイ構想のごとく、国家の政策と予算で情報インフラを整備することが急務ではないか。(ロ)日本の官民の通信は諸外国に傍受されているのではないのか。情報面のセキュリティは国家として施策する必要があると思うがどうか。(ハ)諸外国は各種情報メディアを使って情報操作も可能であり、していると思う。米国はこれを防止する法津もある。これも国家施策が必要でないかとの質問に対し)まったく同感である。国家政策的に見て、日本は決定的に出遅れている。米国では情報産業は核であるとの認識のもと、徹底的に政府が動いている。また、防衛政策上、情報戦略の重要性を認識し、日本はもっと予算をつぎ込んでやるべきだとも思う。
Posted by gyosei-kanji
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